「問題解決ができるかどうか」に徹底的にこだわりたい

かものはしプロジェクト 共同代表 青木健太 (聞き手:PHP総研 山田花菜)

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――かものはしプロジェクトは学生インターンと社会人インターンを採用されていますよね。みなさんすごく優秀なイメージがありますが、採用とか人材育成のコツはなんでしょうか。
 
青木:そうなんですよね、日本事務所はとくにインターン生が活躍していて、優秀な人も多いし、育成もすごくがんばっていると思います。僕はカンボジアから見ているだけなので「すごいなー」なんて他人事みたいに言ってるんですけど(笑)。
 コツらしいものといえば、いちばんは仕事を任せること。一方で、任せっきりにするのではなくて、それをちゃんとケアできるスタッフが多いこと。社会人インターンは別として、学生インターンは最初からそんな高いビジネススキルを持っているわけではありませんし、それは一朝一夕で身につくものでもありません。でも彼らがその時点で持っている力をどれくらい発揮できるか、ということは結構変わりうるんです。持っている能力を100としたら、それをどれだけ引き出せるかが大事だと思っています。組織を構成しているメンバーが、それぞれ出す能力は20とか30でいいじゃん、100とか別に出さなくていいよね、というふうになっていたら、組織としてもなかなかエネルギーは出ませんよね。
 スタッフの関係性の話とまったく同じだと思うのですが、力を出したいと思えるかどうかに影響することって、人と人の関係性とか、なんでその人がそれをやりたいと思っているのかだと思うんですね。だから、「本当にやりたいことは何?」「かものはしでどういうチャレンジがしたい?」といったことを、1か月に1回とか、定期的に面談をして問い掛けるんです。そうすることで、みんなが自分の課題ややりたいことをしっかりつかんでいきます。時には「かものはしで学んだことを新しいことに活かしていきたいので卒業します」というケースもありますがそれもよし。いずれにせよ、すごく前向きなエネルギーを持って活動に関わってくれる。
 そういう関係性づくりや、フィードバックが、インターン生たちの力を引き出しているんじゃないかなと思います。
 
――スキル教育に力を入れているというよりも、それぞれが本当にやりたいことはなにかをひたすら問いかけて、引き出していくという感じなんですね。
 
青木:それがいちばん大きいと思います。最近はマネジメント能力が高いスタッフも多くて、ビジネススキルが十分でない学生が関わっても事業のPDCAサイクルを回す仕組みがすごい精度でできている、という部分もありますが、根本はそうした問い掛けだと思っています。
 営利企業だと、収益をあげなければいけませんから、極端な話「意味とかいいから、手を動かして」みたいなことにもなりがちだと思うんですが、僕たちは非営利の力で活動していますから、その人が本当にやりたいことにつながることでないと、やっていられないんですよね。かものはしでインターンをやっている時間をバイトに充てればお金だってもらえるのに、かものはしで無償で活動してくれる。だったら、こちらは何を提供してあげられるのかということを、いつも真剣に考えています。

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