みんなで協力し合って課題を解決する社会へ

日本ファンドレイジング協会 代表理事 鵜尾雅隆

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――取材などでソーシャルセクターで活動されている方々を知れば知るほど、逆に寄付先に悩むようになりました。自分が持っているお金には限りがあって、その中で自分はどこを応援したいのか決めるのは難しいな、と。
 
鵜尾:そうですよね。わかります。私もずっと支援している団体がいくつかありますが、ソーシャルセクターでのかかわりの幅が広がってくると、支援先を切り替えることもあります。
 支援先は数えきれないほどある。その中で、自分の予算の範囲でそのときどうするか決めるんですよね。同じ団体を継続して支援するのもいいし、そのときいちばん支援すべきだと思えるところをその都度決めてもいい。
 ただ、私は寄付というものはほんとうに金額の何倍もの効果があるという気がしています。行政からいただく1万円も、企業からいただく1万円も、同じ1万円なんですけど、やっぱり個人からいただく1万円がいちばんエネルギーの源になるんですよね。がんばるためのエネルギーが何倍にもなる。
 
 もうひとつ、JICAにいたときは、大きな組織なので同僚が1,800人くらいいたんですが、ソーシャルセクターで働くようになって、同僚が30万人くらいいるように感じています。日本ファンドレイジング協会の職員は10人くらいだし、ファンドレックスあわせてもも20人いないくらいなんですけど。
 NPOの人たちも、普段は別々に活動しているんだけど、なにかのときに一緒になると、すぐお互いに応援し合ったり、誰かの勝負時にはみんなで後押ししてあげたりする。その感じがすごくいいなと思っています。とくに20代から40代くらいまでの社会起業家の人たちはその感覚が非常に強い。お互いを励まし合ったり、応援し合ったりしているのは、すごく気持ちがいいですよね。
 
――たしかに、それは営利企業にはないことかもしれませんね。ペプシがコカコーラの宣伝をすることって、絶対ないですもんね(笑)。
 
鵜尾:そうですね。自分たちだけで社会の課題を全部解決することはできないから、みんなで協力したほうがいいし、自分は子どもの貧困の問題に取り組んでいるけれど、障害者支援だって大事だと思っている、というところがみんなにあるんですよね。
 それは、自分がこのセクターに入ってやってみてわかったことですが、すごく気持ちいい。もちろん分野とか団体特性でも違うのかもしれませんが。
 ただ、すべての方がそうでないとしても、私がおつきあいしているとくにいまの方々の雰囲気を見ていると、彼らのそうした姿勢が、イノベーションのもとだなと感じています。大事にしたいですし、社会全体をそういうふうにしていきたいですね。
 
――本日はありがとうございました。

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