みんなで協力し合って課題を解決する社会へ

日本ファンドレイジング協会 代表理事 鵜尾雅隆

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――NPO相手の対価を受け取りながらのコンサルティングで、顧客が獲得できているのがすごいですね。
 
鵜尾:おかげさまで立ち上げから8年間、お客様が切れず、ありがたいと思っています。立ち上げ前は私も心配したんですけどね。前職のサラリーマン時代にコンサルティング会社を創業しようと決めたのが2007年12月、その時点でクライアントは0だったんですが、半年後の7月1日にファンドレックスを立ち上げたときには、2年分のコンサルティング案件がいっぱいだったんです。それだけニーズがあったんだなと思いました。
 
 国内外の成功事例を紹介するのは大事なことですが、そうした事例を生み出すプロセスに関わるのも大事なことなんだろうなと思っています。NPOと向き合う中で得ている知見というのは、ある意味日本で最先端の知見なので、それをプラットフォーム化して共有していければ、日本でファンドレイジングがもっと進むし、私たちも確信を持ってコンサルティングできるし。
 
 私は、マッキンゼーの中興の祖と言われているマービン・バウワーの、「コンサルティングサービスが業界全体のクオリティを上げる」という信念に共感しています。アメリカでも最初コンサルティング会社はつまはじきにされていて、「そんなアドバイスできるんだったら、自分で事業をやれ」と言われていたんですね。でも、対価をもらってコンサルティングをする中で、業界で変化を生み出す源とも言える最先端の知見をどこよりも包括的に持っているのは、本気でその業界の未来を考えているコンサルティング会社である場合があります。そのたまった知見をほかに提供したり、その経験から仕組みを発想していくことで、業界全体のレベルが上がっていきますよね。
 それはやっぱり、大学とか研究機関とは違う役割なんです。誤解を恐れずにいえば多くの大学の先生が行う事例研究は、終わった状況についての分析だけど、コンサルティングは、生み出すプロセスそのものに携わりますから。
 
 ただ、ふつうはコンサルティング会社が得た知見をフラットに幅広く共有することはないかもしれませんが、私たちの場合はソーシャル目的なので、できるだけコンサルティングの中でためてきた知見をさまざまな形で社会に提供しています。

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