誰もが生き生きと才能を発揮できる社会を

ARUN 代表 功能聡子

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――休眠預金の活用など、日本でもソーシャルなお金の流れをつくろうという動きは進んでいるように思いますが、休眠預金に関して言えば、使い先が国内に限られることになりそうです。
 
功能:当たり前のことですが、日本は日本だけでは存在できません。日本の課題と世界の課題は深く結びついています。もちろん、国内の課題、地域の課題は大切です。ただ、いま私たちが生きている社会に存在する大きな課題を考えるとき、日本とそれ以外の海外と分けて考えることには違和感があります。
 
 たとえば、先日ある会議でイギリスの方とご一緒したのですが、その方のプレゼンテーション資料では、「イギリスのアルツハイマー患者への支援」「リベリアの自立支援」「ラオス、カンボジアの障害者雇用」の3つの課題が、同列に語られていました。これから必要なのは、この感覚だと思うんです。「国内の課題もあります。海外の課題もあります。それは私たちが生きているこの時代の課題です」。自分のことだけ考えるのではなく、世界に目を開くマインドセットがあってもいいのではないかと思います。
 
 社会的投資についても同じことが言えて、欧米の社会的投資機関には、国内向けの社会的投資と途上国向けの社会的投資と、両方に取り組んでいるところがたくさんあります。ヨーロッパの金融機関の中には、預金の利息を社会的投資に回せるというオプションがあり、その投資先には国内の地域課題解決もあれば、途上国支援もあります。そういうふうに日本もなるといいなと私は思っています。
 
 制度設計には、そこに携わる人やその社会の価値観が反映されると思います。休眠預金の使い道を国内に限るのにも、理由があるのでしょうが、もっと広い視野で考えたほうがいいのではと思います。
 
 課題への取り組み方に関しても、たとえば日本は高齢化が世界でもっとも進んでいるから、日本が解決策をつくって、それを世界に輸出していくんだと聞くこともありますが、もっとスピードアップが必要だと考えています。世界への貢献というのは、いま、なにをしているのか見えることが大切。例えば、インドでも高齢者に対する福祉サービスを提供しているソーシャルビジネスがあるんですが、日本ではあまり知られていませんよね。
 
 世界中にいろんな課題があって、いろんなユニークな取り組みがあって、それぞれにいいところがあるのです。同時並行でシェアし協力し合えるように、課題とその解決策が、国境を越えて開かれていくといいなと思います。

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