放課後の子どもたちを守りたい
参加者がいない!
デパートの本部に勤めていた平岩さんは水曜日と日曜日が公休日だったため、ボランティア活動として毎週1回、水曜日に公民館でアフタースクールを始めることにした。
「和食の教室をやったんですが、ここにも若干苦労話があって。世田谷区からもらった助成金で、まずはチラシをつくったんです。だけど、意外と高いんですよね、チラシの印刷代って。何百枚も刷ったら、それだけで数万円の助成金なんてなくなってしまった(笑)」
再び小学校に電話をかけ、今度はチラシを配布したいと申し出た。
「絶対大丈夫だと思って電話したんですよ。こんなにいい企画なんだからって。だけど、また断られた。これもいまから思えば当たり前なんですけど。だけど、中には親切な先生もいて、『君、しつこいから置いておいてあげるよ』と言って受け取ってくれたり、児童館を回って置かせてもらったり。スーパーやパン屋さんに貼らせてもらったりもしました。公園で遊んでいる子どもたちに直接配ったりもしたんですが、そこでも『変な人がチラシ配ってる』って感じになって、これはまずいと思ったので、さすがにそれはやめました」
だが、開催日の前々日になっても、応募は0人。さすがに気落ちして中止を決め、市民先生第一号となるはずだった和食の先生に断りの電話を入れた。
「『申し訳ありません。せっかくお引き受けいただいたのに、生徒を集められませんでした』って。ところが、その少し前に会った民生委員の方がいて、その人がパン屋に貼ってあったチラシをたまたま見てくれたらしいんです。それで連絡をくれて、『あなたおもしろいことやってるじゃない。応援するわよ』と言ってくれて」
ありがたいと思う反面、応募0という現実に打ちひしがれていた平岩さんは、「よろしくお願いします」と返事をしながらも、もはや人は集まらないだろうとほとんど開催を諦めていた。しかし、その期待はよい方向に裏切られることとなった。
「市民先生に断りの電話をした翌日、つまりプログラムの前日ですね、民生委員さんが連絡をくれて、『4人行くわよ』って。それで、もう1度市民先生に電話をして改めてお願いをしたら、快く引き受けてくださって。なんとか1回目を開催できることになったんです」
小学校低学年の子ども3人と、4年生の男の子1人の、4人からのスタート。そして、このときの体験が、平岩さんの原点となった。