放課後の子どもたちを守りたい
小学校に怪しまれた最初の取り組み
最初の活動の舞台は、世田谷区の公民館。区の助成金を獲得しての活動だった。
「区報を見ていたら、新規事業活性化プランのようなものが公募されていたんです。『通ると助成金が出ます』と。そうしたコンテストには何度も落ちていたんですが、まただめだろうなと思いながらも出してみたら、通ったんです」
助成金の額は数万円という規模だったが、審査に通った喜びは大きく、自信にもつながった。
「このとき提出したプランの内容は、いわゆるアフタースクールの展開。放課後、学校の空き教室などを使って子どもたちの居場所としつつ、いろいろな体験プログラムを行うというものです。『市民先生』としていろんな市民に放課後の先生になってもらうんですが、和食のいい先生が見つかったので、まず最初は和食を伝えるプログラムをやろうと思って、早速地元の小学校に提案することにしました」
小学校の電話番号を調べ、意気揚々と電話をかけたが、平岩さんの予想に反し、反応は冷ややかなものだった。
「いま思えばほんとうにお恥ずかしい話なんですが、『アフタースクールを立ち上げました。和食のすばらしい先生がいるので、先生の学校でやってみませんか?』と、言うなれば『やってあげましょう』くらいの上から目線な話をしました。当然、『そもそも誰ですか?』っていうことになる。もうすごく怪しまれて、断られて」
たまたま頭の固い先生にあたってしまったのかもしれない、と2校目に電話してみるも、結果は同じ。
「後で聞くと、どうやら『アフタースクールの平岩を名乗る人物からの電話は取り次がないように』っていう通達が回っていたらしくて(笑)。当たり前ですよね。そんなどこの誰かもわからないような人物からの提案なんて、怪しいし、危ないし」
小学校が用心するのも当然だと思った平岩さんは、小学校への導入提案は断念し、調理施設のある公民館を借りて活動を始めることにした。