夢や価値観を提供できる企業を目指して

株式会社Kaien 代表取締役 鈴木慶太

デンマ~1
スペシャリステルネ創業者Thorkil Sonne氏と鈴木氏(写真提供:Kaien社長ブログ)

発達障害を知って、自分も人付き合いが楽になった
 
 こうして支援事業を展開していく中で、鈴木さんが息子が発達障害と診断されたときに受けた印象は、彼らを取り巻く環境とともに変わったものもあれば、変わっていないものもある。
 
「自分が持っていた偏見というか、勝手に思い描いていた像があるということを受け入れられて、自分が歩んできた道が絶対ではないし、自分の子どもがそうならなくてもいいかなと思えるようになりました。障害の理解とは別に、自分の価値観がいい意味で前進したと思います」
 
 一方で、発達障害者にとって、いまの世の中は厳しい戦いの連続になるだろうという思いは変わっていないともいう。
 
「会社を立ち上げたときに、世の中の価値観が変わればいいな、人々が考え方を変えてくれたらいいなと考えていたんですが、そのときに目指していたものが100とすると、いまは1もできていない。なにも変わっていないとは思いますけど、発達障害の可能性に対する考え方の変化など、小さなブレイクスルーはいっぱいあるとも思います」
 
 また、発達障害という概念を知ったことは、鈴木さん自身の人付き合いにも役立っているという。
 
「この人は診断は受けていないようだけど発達障害の傾向があるな、と思うことで、相手が多少不思議な言動をしても受け入れられるようになった。原因がわかっているから。それまでは、ほんとうに不思議だったんですよ。なんでわからないの? なんで間違うの? って。発達障害という概念を手に入れてから、僕自身も人の理解がすごくやりやすくなったと思います」
 
 発達障害は、福祉関係を筆頭に、社会でサポート的な事業に携わる人々にとって知っておくべき知識のひとつとなりつつあるばかりでなく、人付き合いのさまざまな面で役立つキーワードであるのかもしれない。

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