ソーシャルな志を、ビジネスのしくみとして成り立たせる

福島復興ソーラー・アグリ体験交流の会 半谷栄寿

_E1A7860-1
南相馬ソーラー・アグリパークでの体験学習の様子

太陽光に加えて多様な自然エネルギーの体験を
 
 順調に歩みを進めている南相馬ソーラー・アグリパーク。ますます発展してくために乗り越えていかなくてはならない課題もある。
 
「これから先を考えると楽しみでもあるんですが、大きな課題が3つあると捉えています。ひとつめの課題は、人材を育成するための体験をさらに広げる施設の拡充です。経済産業省などの支援を受けて、まず、水力発電の体験装置を2014年2月末までにつくることにしました。子どもたちが自分の力で水車を回したときの発電量と、水をくみ上げて水車にぶつけたときの発電量を実験して、比べてみる装置です」
 
 子どもたちが水車を回した場合の発電量は、実はほとんどない。一方、子どもたちがくみ上げた100リットルの水を3メートルの高さから水車にあてて回すと、30ワットほどの発電量が見込める。
 
「子どもたちがポンプで水をくみ上げることで、自分たちで“位置エネルギー”をつくる。この体験が、水の持っているエネルギーに実感をともなわせると思うんです。あくまでも体験にこだわった装置とプログラムを作っていこうと」
 
 同じく2月末には、風力発電の体験装置も完成する予定だ。体験のための舞台が、さらに整うことになる。
 
「もうひとつ、自然エネルギーについて福島県の大型マップをつくります。県内には、水力や太陽光、風力など自然エネルギーの発電施設が、これからどんどんできていきます。子どもたちは、この大型マップにウォークインして、それぞれの施設をあたかも回遊するように楽しく体験します」
 
 福島県を東西10メートル、南北7メートルの大きさで表す大型の自然エネルギーマップをつくる。そこに、太陽光、風力、水力などのモニュメントを先端にあしらった高さ1メートルほどのポールを立てて、自然エネルギーの伸展を表現するのだ。
 
「福島県は『自然エネルギー先駆けの地』を復興のひとつのテーマにしています。その取り組みや成果を実感してもらい、そして自然エネルギーへの関心と理解を深めていくゲートウェイの役割を担っていきたいと考えています」
 
 子どもたちのために、未来のために、そして地域のために、おもしろい体験を生み出して実践につなげる。半谷さんの決意と情熱にブレはまったくない。

関連記事