「ねじれ国会」が解消されるかどうかの分岐点で考える

政策シンクタンクPHP総研 研究主幹 永久寿夫

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永久:ネット選挙が進展すると個別具体的利益と政治家が結合していく可能性が出てくる。そうした個別具体的な利益の調整をするのが、政党の重要な機能の一つであり、だからこそ政党のガバナンスが求められるが、ガバナンスを強化しようというモチベーションは逆に弱くなる。この観点に立つと、Change.orgは恐ろしいツール。個別具体的なテーマでキャンペーンが行われ、実際に世の中を一つひとつ変えてしまうパワーを持っている。新しい参加型民主主義の一つの形態だが、全体としては整合性やビジョンがなくなってしまう恐れがある。
 
ハリス鈴木:日本には、投票しても何も変わらないと思う一方で、自分が関心を持った課題に対しては意見を言いたいという人が多い。だから、投票には行かないが、例えば、動物愛護法には何十万人の人がコメントを書くという現象が起きる。世論調査などでは、7割近くの人が、国レベルの政治が国民の民意を反映していないと言っている。政治は、ネットなどのツールを使い、効率よく国民の声をくみ上げる努力をしてほしい。安倍首相のFacebookが凄く盛り上がり、大勢の支持者が「いいね!」を押してコメントを残しているが、それを世論ととらえるべきではない。総理大臣は国民全員のために働いているのであり、あらゆる民意を吸い上げる努力をしなければならない。
 
 
【質疑応答】
1.政治活動と選挙運動が分けられているのは金権選挙を防止するためでは?
 
加藤:今の時点では関係ない。むしろ今の制度では選挙期間中に多大なお金がかかる。政治運動を年中行い、集めたお金と使ったお金をきっちりと公表し、監査を受けるようにしたほうがよい。
 
ソーブル:金権選挙の防止はどこの国でも課題。すべての政党と政治家が明確でフェアなルールにもとづいて、政治活動をすべき。現在の選挙期間はお祭りモードになってしまい、政策に対する議論が少ない。
 
ハリス鈴木:参加型でオーナーシップが持てる選挙のあり方が大事。それには細かくて多すぎるルールが障害。もっとオープンで自由な議論ができるようにすべき。
 
若田部:政治がつまらないのは、規制産業だから。ネット選挙は、やっと起きた小さな変革だが、その影響力は未知数。政策のイノベーションを起こすために、新規参入を促す規制改革が重要。
 
ハリス鈴木:Change.orgのキャンペーンを見ると、アメリカでは規制を求めるものが多く、日本ではストリートバスケットができるようにしたいとか、この公園でバーベキューができるようにしたいとか、規制を無くして欲しいというものが多い。

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