「ねじれ国会」が解消されるかどうかの分岐点で考える

政策シンクタンクPHP総研 研究主幹 永久寿夫

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加藤:政治家が悪い、官僚が悪い、規制が多いとかいう話ではなく、自分の生活と世の中の事柄が表裏一体だという感覚が希薄なことこそ問題。政治の問題は他人事ではなくて、結局自業自得、自分に戻ってくるという認識をもつべき。
 
2.衆議院と参議院における選挙の争点はどうあるべきなのか?
 
永久:今回の選挙は安倍政権の信任投票のようになっている。衆院選は政策に基づいた政権選択、参院選はその信任というかたちがいいのかどうか。これは二院制を含めた統治制度の問題にもなるので、改めてテーマとしたい。
 
3.日本人は議論を通して結論を出していくことが下手なのではないか?
 
ソーブル:自虐的になる必要はないが、議論すること自体が好きだという日本人の割合は欧米よりは少ない印象。議論や意見を交わすこと自体が大切であり、楽しいことだと認識すべき。
 
永久:教育制度とか内容にもかかわる話なので、また、別の機会にテーマとして取り上げたい。
 
【パネリスト最後の一言】
 
加藤:個人的なことと公的なものとをつなげて考えることが大切。例えば、世の中が平和で、政府がきっちり仕事をしていくことが、会社の利益にもなり、自分が働いて給料をもらえて、バカンスも楽しめることにつながっていると認識すること。日本は平和で豊かで、世の中のことが他人事になった。これを払拭するにはどうすればよいのか。
 
ハリス鈴木:アメリカの社会変革は、個人のストーリーを通して、輪が広がるというかたちで進むことが多い。そうしたことが日本でも起きてほしい。一番大事なのは、自分の話を語ること。自分のストーリーをシェアすることのリスクばかりを見ずに、それが社会貢献につながるとポジティブに捉えていくべき。
 
若田部:安倍首相の文化的な価値観が好きというわけではないが、日本経済に光明を見せてくれたのは事実。重要なのは、これから先の日本をどのように構想するか。それには、安倍政権がやっていることを正確に把握し、理解し、評価すべきところを評価すると同時に、問題点を追究していく必要がある。
 
ソーブル:貴族階級もなく連邦制でもない日本に参議院があるのは疑問だが、参院選という機会を使って、アベノミクスのあるべき姿や中長期的な課題など政策論を徹底的かつ参加型で議論をすべきなのではないか。期間が短いという問題もあるが、新しいタイプの政治の場として参議院を捉えたらどうか。
 
永久:今日の議論はまとめない。それぞれの議論を自分事として捉え、選挙の参考にしてもらいたい。
 
【文責:永久寿夫】
 

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