PB(基礎的財政収支)か政府債務残高か ─経済財政運営をめぐる論点整理─
Talking Points
- このところ、財政運営のあり方をめぐって活発な議論が行われている。焦点のひとつは、財政健全化の指標としてPB(基礎的財政収支)と政府債務残高対GDP比のどちらを重視すべきかということだ。
- この議論のポイントは成長率と金利の大小関係にある。成長率が金利よりも高いことを前提にすれば、政府債務残高対GDP比を指標とする財政健全化目標の方が財政運営の自由度が高まる。だが、債務残高対GDP比を指標とする場合、金利が成長率を上回る状態になると、意図に反してより大幅な財政収支の改善を求められる可能性がある。
- 政府債務残高対GDP比を指標とする場合にはprocyclicality(景気循環増幅効果)やcontrollability(財政健全化目標の制御可能性)の問題にも十分な配慮が必要となる。
- コミットメント(約束)の記述の仕方を工夫すれば、基礎的財政収支を指標とする財政健全化目標のもとでも「責任ある積極財政」の趣旨に基づく財政運営は実現できる。
- 財政の持続可能性という観点からは純債務(政府が保有する金融資産の残高を考慮した場合の政府債務)に十分な指標性がある。総債務と純債務の水準に大幅な乖離があるという点で、日本の財政はG7各国の中で特異なものとなっていることにも留意が必要となる。
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