【提言報告書】コロナ後の財政金融政策のロードマップ
― 「新しいアコード」でマクロ経済運営の舵取りを―

コロナ禍のもとでは様々な分野で臨時・異例の対応を迫られましたが、マクロ経済政策の運営もその例外ではありません。10万円の特別定額給付金をはじめとする家計支援・企業支援の措置が講じられたことから政府の支出が大幅に拡大するとともに、企業の資金繰り対策などのために金融政策の運営においても、市場に供給する資金量がそれまでの水準を大きく上回って推移するようになり、結果として財政金融両面において拡張的な政策運営が続けられてきました。

もっとも、新型コロナの感染拡大から2年半以上の時間が経過する中、平時モードへの復帰が大きな課題となっています。また、資源高と円安を起点とする物価上昇により、デフレを基調とするこれまでの経済環境への対応とは質の異なる新たな課題への対応も求められるようになりました。

こうした中、PHP総研では本年1月にPHP「ポストコロナ財政金融」研究会を発足させ、各分野の専門家を招いてテーマ別に報告と討議を行うとともに、本報告書の公表に向けて調整を進めてまいりました。ここに、これまでの研究成果をまとめた提言報告書を公表いたします。

本提言報告書では、今後の財政金融政策の運営に関するロードマップを示し、政府と日本銀行による「新しいアコード」の策定を提案しています。2013年1月の「共同声明」ではデフレ脱却を目指す政府・日銀の連携が謳われていますが、物価高への対応という新たな課題も生じる中、異次元緩和の出口戦略を含む市場との対話のあり方、政府と日銀の政策連携のあり方の再点検が求められています。

本提言報告書が今後の政策運営のあり方を考えるうえでの一助となれば幸いです。

※図1に誤りがございましたため、10月17日(月)に訂正の上PDFデータを差し替えました。

【内容】

<目次>

本研究会の設立趣旨
1. ポストコロナにおける財政金融政策の考え方
2. アベノミクスから現在までのマクロ経済の動向
2-1
アベノミクスから現在までの金融政策
2-2
金融政策によるコロナ危機への対応
2-3
アベノミクスから現在までの財政政策
2-4
財政政策によるコロナ危機への対応
3. 政府・日銀による「新しいアコード」の策定を
4. 2030年代までの現実的なマクロ経済政策
4-1
金融政策
4-2
財政政策
5. ポストコロナ財政金融政策のシークエンス
5-1
フェーズ①:「コロナ危機からの景気回復」
5-2
フェーズ②:「安定的な経済成長」
6. 2030年代までのマクロ経済運営におけるリスクシナリオ
補論:地域金融に関する提言

【開催経緯】

PHP「ポストコロナ財政金融」研究会開催経緯(主なテーマ、講師)〈敬称略〉

第一回(2022年1月18日)
日銀の金融緩和政策の出口戦略

  • 左三川郁子(日本経済研究センター金融研究室長)

第二回(2022年3月15日)
ポストコロナにおけるマクロ経済政策の展望

  • 飯田泰之(明治大学政治経済学部准教授:研究会開催当時)

第三回(2022年4月25日)
ポストコロナにおける金融機関の展望

  • 野崎浩成(東洋大学国際学部教授)

第四回(2022年5月16日)
日本経済の現状と財政金融政策の今後の道行き

  • 中里透(上智大学経済学部准教授)

オンラインフォーラム(2022年6月22日)
ポストコロナの日本経済と財政・金融政策

  • 左三川郁子(日本経済研究センター金融研究室長)
  • 中里透(上智大学経済学部准教授)
  • 野崎浩成(東洋大学国際学部教授)
  • 宮下量久(拓殖大学政経学部教授、PHP 総研客員研究員)

第五回(2022年7月11日)
研究会の提言骨子について

第六回(2022年8月3日)
研究会の提言原案について

第七回(2022年8月17日)
研究会の提言案議論

第八回(2022年9月26日)
研究会の提言案確認

本報告書は、各研究会での議論などを基に、宮下量久(拓殖大学政経学部教授、PHP総研客員研究員)が取りまとめ役となって作成したものです

注目コンテンツ