【提言報告書】自由主義的国際秩序の危機と再生―秩序再編期の羅針盤を求めて

 自由貿易、民主的政治体制、基本的人権、社会の開放性等を重視する自由主義的国際秩序が岐路に立たされています。

 「アメリカ・ファースト」を追求するトランプ政権の登場、英国のBREXIT、欧州諸国における反移民、反EUポピュリズム勢力の台頭など、世界を主導してきた自由で民主的な先進諸国で、自由主義的国際秩序の転機を感じさせる動きが相次いでいます。並行して、中国などの権威主義国家が経済的な成長を遂げ、政治的にも軍事的にも台頭して、自由民主主義世界からのパワー・シフトが生じています。破綻国家から先進国への移民やテロ、ならず者国家による秩序攪乱行動など、途上国における動きも自由主義的国際秩序の動揺を増幅しています。

 

 これらの挑戦の本質はいかなるものなのでしょうか。世界秩序は根本的に転換することになるのでしょうか。日本を含む自由民主主義諸国は、自由で民主的な国家体制と自由で開かれた、ルールに基づく世界秩序を維持発展させることができるのでしょうか。

 

 こうした問題意識に立ち、PHP「新世界秩序」研究会は、現在の秩序変動について多角的に検討を重ね、新しい現実の中で日本がどのような国際秩序を目指し、どのような対応をとるべきか議論してまいりました。本提言報告書はその成果をまとめたものです。

 

 提言報告書は分析篇と提言篇から成っています。分析篇では、国際秩序の構造とその変遷、既存秩序が受けている挑戦の諸相、これからの国際秩序を方向づける米中関係のシナリオや規程要因などについて多面的に検討を行った上で、新しい国際秩序の骨格を描いています。提言篇では分析篇での考察をふまえて、「パワー・シフト」「ハイパー相互依存」「破壊的イノベーション」が同時進行する新しい現実の中で、自由主義的国際秩序を軸にする望ましい秩序を生み出すための戦略を提示しています。

 

 自由主義的国際秩序を外交の基盤としてきた日本も局外者ではいられません。本提言報告書を、国際秩序の現在とこれからについて考え、日本と世界が立脚すべき座標軸を明確にする際の参考にしていただければ幸いです。

 

※提言報告書全文は、PDFでご覧いただけます
https://thinktank.php.co.jp/wp-content/uploads/2018/10/20181025_01.pdf

【PHP「新世界秩序」研究会メンバー】

山本 吉宣
/新潟県立大学大学院国際地域学研究科長、政策研究センター教授、PHP総研研究顧問
納家 政嗣
/上智大学国際関係研究所特任教授、PHP総研コンサルティング・フェロー
金子 将史
/政策シンクタンクPHP総研首席研究員
前田 宏子
/政策シンクタンクPHP総研主任研究員

【内容】

<目次>(抜粋)

[Ⅰ]分析篇

第1章 世界秩序/国際秩序をどう捉えるか

  • (1)現代世界秩序の基本構造――主権国家体制・米国覇権・自由主義的国際秩序
  • (2)国際秩序の変遷

第2章 世界秩序の現段階

  • (1)分岐点にある世界秩序
  • (2)挑戦を受ける自由主義的国際秩序と米国覇権
  • (3)まとめ

第3章 国際秩序の概念整理と米中関係のシナリオ

  • (1)秩序型を整理する枠組み
  • (2)東アジアの秩序
  • (3)米中による国際秩序形成のシナリオ

第4章 米中国際秩序競争を左右する要因

  • (1)米中間のパワー・バランスの動向
  • (2)米中間の相互作用
  • (3)中国の制度戦略
  • (4)米国による階層秩序と中国による階層秩序
  • (5)当面の見通し

第5章 新しい国際秩序の骨格

  • (1)協争的関係の下でのハイパー相互依存管理の必要性
  • (2)2つの自由主義的国際秩序
  • (3)国際環境変化と国々の戦略
  • (4)自由主義的国際秩序の戦略
  • (5)自由民主主義諸国に求められる主体的契機

[Ⅱ]提言篇 自由主義的国際秩序の新段階と日本の戦略

  • 1.新しい現実の中で「志あるリアリズム」を追求する
  • (1)国際秩序が変容する「新しい現実」を直視する
  • (2)「自由で機能する日本」を戦略構想の出発点にすえる

  • 2.自由主義的国際秩序をバージョンアップする
  • (1)自由主義的国際秩序の意義と限界を問い直す
  • (2)「多層的で可変的な」自由主義的国際秩序を発展させる
  • (3)自由主義的国際秩序における米国の主導的役割を再評価し、欧州、インド等との戦略的連携を強化する
  • (4)CPTPPをひな形として自由貿易体制を進化発展させる
  • (5)「自由で開かれたインド太平洋戦略」を具体化する
  • (6)権威主義国家による「価値切り下げ」への耐久力を培う
  • (7)自由主義的国際秩序の再編過程で途上国問題を位置づけなおす

  • 3.自由民主主義諸国と権威主義諸国が共存する国際秩序を構想する
  • (1)グローバル、リージョナルに、安定した「競争的相互浸透型秩序」形成に努める
  • (2)国際制度・国際組織をめぐる戦略的「協争」を展開する
  • (3)主権国家体制と国際法を大国間協調の共通基盤とする
  • (4)日米および日米+αの戦略的一体性を確保する
  • (5)東南アジア等の重要地域に息の長い関与を行う

  • 4.国内/国際連関を再調整し、ハイパー相互依存を管理可能にする
  • (1)現代版「埋め込まれた自由主義」の創出を目指す
  • (2)金融危機の頻度や烈度の抑制とレジリエンス向上をはかる
  • (3)ジオエコノミクスの広がりに備える
  • (4)Emerging Technologiesを自由な社会の維持発展に統合することを自由主義的国際秩序の優先アジェンダとする

  • 5.米中協争時代における日本の主体的な構えを確立する
  • (1)確たる視座と柔軟な姿勢で戦略的好機を捉える
  • (2)プリンシプルあるヘッジングを統合的に展開する
  • (3)米国社会、中国社会に重層的に関与する
  • (4)米中の動きを複眼的に把握する能力を高める
提言報告書表紙

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