子どもたちのために大人が力を合わせられる社会を

NPO法人 ブリッジフォースマイル 代表理事 林恵子

A91A6313

――旦那様の海外転勤という機会を、最大限に活用されたんですね。現在、活動地域は東京、横浜、福岡ということですが、全国への活動拡大など、今後の展望を教えてください。

:福岡ではブリッジフォースマイルとして活動しているというよりも、ブリッジフォースマイルのアイデアや仕組みを提供して、現地のNPOに協力者を独自に募って活動していただいているんです。「この条件に沿ったものでないと、『カナエール』という言葉はつかえません」とか、制約をつけて使っていただいています。

 全国にニーズがあることは分かっているので、時間はかかっても全国に活動を広げていければと思ってはいるんですが、児童養護の現場も状況がどんどん変わってきていて、里親制度をどうするのかとか、児童福祉法の適用年齢を18歳から20歳に上げようとか、いろんな議論が交わされていて、退所後の支援に関しても、私たちの活動開始時とは違って、制度がどんどんつくられてきています。

 そういう中で、私たちも今後どういう役割を果たしていくのかということを、きちんと考えなければならないタイミングが来たと感じています。いまあるものをただ拡大するということではなく、11年前とは環境が変化していることも踏まえながら、この問題とどういうふうに向き合っていったらいいのかをもう一度整理した上で、事業を展開していけたらと考えています。

――PHP総研は政策提言も行っていますので、制度上の改善案など、協力させていただけることがあれば、ぜひよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。


林 恵子(はやし けいこ)*1973年、千葉県生まれ。大学卒業後、大手人材派遣会社パソナに入社。 子育てとキャリアの両立に悩む中参加 した研修をきっかけに児童養護施設の課題に気づき、2004年12月、「ブリッジフォースマイル」を設立。2005年6月にNPO法人化し、パソナを退職。 養護施設退所者の自立支援、社会への啓発活動、人材育成を活動の3つの柱とし、さまざまなプログラムを提供している。
 
【写真:遠藤 宏】

関連記事