No.2を目指す人を増やしたい

NPO法人 e-Education 代表 三輪開人

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――まず国際協力やソーシャルの世界に入るきっかけそのものに出会わないという人が多いと思うんですが、いまそうした世界で活躍している人にお話をうかがうと、きっかけは意外とひょんなことが多いような気がしてきました。
 
三輪:私にいたってはとくにそうかもしれません。アツ(e-Education前代表の税所篤快さん)はもともと中学の頃からカンボジアで井戸を掘るとか、社会の課題がよく見えていた学生だったと思うんですが、私は高校まで野球漬けで、大学に入るまでは野球と勉強と恋愛とで頭の100%を占めていて、国際協力のコの字もありませんでしたね。
 
――ふつうの高校生はそうなんじゃないでしょうか(笑)。むしろ、税所さんが中学の頃からそうした問題に関心があった理由をご存じですか?
 
三輪:実は、どうやら目立ちたかったらしいんです(笑)。アツは別に運動神経がいいわけでもないし、勉強が得意というわけでもない。そんな彼が目立つ方法を考えてたどり着いたのが、人とは違うことをするということ。人とは違うこと、それも誰かの役に立つことをすることで目立ちたいと。きっと、人から認められたい、誰かの役に立ちたいという思いが、人の何倍も強い子どもだったんだと思います。
 
――三輪さんのお話に戻すと、マザーハウスでのインターンには、どんなきっかけがあったんですか?
 
三輪:原体験から途上国の役に立ちたいという思いがあったので、大学卒業後はJICAへ就職したんですが、実は商社や自動車メーカーからも内定をいただいていました。ビジネスで途上国に貢献していくか、JICAのように直球で国際協力をするか悩んだのですが、最終的にJICAを選んだ代わりに、4年生最後の一年間は、今後もしかするとかかわる機会のないビジネスの世界で途上国に貢献する経験をしようと、自分なりに決めたんです。それから途上国でビジネスをしている団体を探して、マザーハウスにたどり着きました。ちょうど創業者の山口絵理子さんが情熱大陸に出て、本も出版されたタイミングだったんです。
 
 私の実家は静岡のお茶農家で、ゴールデンウィークのお茶摘みを終えて実家から帰る新幹線の中で山口さんの本を読んでいたんですが、お茶づくりも鞄づくりも、究極は「ものづくり」だと思うんです。自分たちの手でつくったたしかな「もの」がお金に換わるということが、たしかな手触り感のあるビジネスとしてわかりやすいなと思ったので、新幹線を降りたその足でマザーハウスのお店へ行って、「インターンをさせてください!」とお願いしました。就活前にマザーハウスを知っていれば、そのままマザーハウスへの就職を希望していたかもしれないと思うくらい、当時衝撃は大きかったですね。
 
――マザーハウスでのインターンからはたくさんのことを学ばれたということでしたが、いまの活動にどんなふうに活かされていますか?
 
三輪:マザーハウスという会社には、私はいまでもすごく憧れを持っていると同時に、将来はこんな組織をつくりたいという思いを持っています。具体的に言えば、前へ前へと突き進んでいく山口絵理子さんという社長がいて、それを隣で支える山崎大祐さんという副社長がいる。私は山崎さんの下でずっとインターンをしていたということもあって、彼のように起業家を横から支えるタイプの経営者になりたいなと思ったんです。それでe-Educationは、アツに代表として前に出てもらって、私は横や後ろからそれをサポートするというかたちでスタートを切りました。

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