【PHP総研特別レポート】
人新世の現実と国際ガバナンス
PHP総研は、地球環境問題と国際政治の複雑な関係を探求するべく、2021年からPHP「人新世の国際政治」研究会(座長:中西寛・京都大学教授)を実施し、経済・産業をはじめ、政治、外交、軍事、開発、科学技術、社会、文化思想にいたる多面的な検討を行ってきました。
このたびお届けするのは、研究会メンバーであり、地球環境問題の国際政治研究をリードしてきた亀山康子・東京大学教授による論考です。
本稿は、地球環境問題と人類の現状を確認したうえで、時間軸が短く国家単位で世界のガバナンスを考える従来の国際政治の枠組みは地球規模課題を扱うには限界があることや、資源・エネルギー問題の変質など伝統的な国際政治で捉えがたい現象が顕在化していることを指摘しています。
加えて、国家のみならず自治体や企業などを含むネットワークを通じて地球環境課題を乗り越える可能性がある一方で、国際政治のゼロサム状況と地球環境の悪化が相互作用する負のループに陥ることもありうると警鐘を鳴らし、日本が国際社会の合意を待つことなく自発的な動きを先導すること、地球規模で考え、対話する人材を育てることを提言しています。ぜひお読みいただき、当該テーマを理解する一助としていただければ幸いです。