【研究報告】
官邸の作り方
― 政治主導時代の政権運営―

2001年の省庁再編で官邸の役割が大きくなり、特に以後の内閣は、政治主導を進めつついかにして政権を維持するかに苦心を重ねてきました。一方で、平成の30年を通して強化された官邸機能や政治主導体制を、当事者たちがどのように認識し、政権運営においていかなる葛藤や工夫を重ねてきたのかという点については、詳細に語られてきませんでした。

政策シンクタンクPHP総研は、これまで暗黙知として共有されてきた政権運営の実態を多面的に解明し、顕在知として言語化することを目指して、2023年10月にPHP「内閣政治」研究会を立ち上げました。本報告書はその成果を中間報告として取りまとめたものです。

政権を組織するに先立って必要となる準備とその具体的な進め方、力強い政策統合を担うコア・エグゼクティブ(中核的執政)のチーム化の方法論の確立、内閣改造や選挙を経て官邸をより強くする方策などを、政権運営を担った当事者の知恵や実体験を踏まえて幅広く検討し、「官邸の作り方」を明らかにしています。

本中間報告をこの時期に公表するのは、本年9月に予定されている、与党第一党の自民党と野党第一党の立憲民主党の総裁選・代表選を意識してのことです。本報告書が、十全に機能する政権運営を目指す候補者に求められる備えや心構えについて、腰を据えて顧みる一助となれば幸いです。なお、本報告書を元に、さらに発展させた最終報告書の公開を今後予定しています。

新政権が官邸を運営するスタートラインを「政権の安定的運営」に近づけることこそ、本報告書が意図するところです。日本政治において、国民の負託にこたえる長期安定政権はいかにして可能か――私たちは、本報告書がその出発点となることを願ってやみません。

PHP「内閣政治」研究会メンバー(敬称略、順不同)

 

牧原 出
(東京大学先端科学技術研究センター教授)
佐藤 信
(東京都立大学法学部准教授)
金子将史
(政策シンクタンクPHP総研代表・研究主幹)
亀井善太郎
(政策シンクタンクPHP総研主席研究員)
大岩 央
(政策シンクタンクPHP総研主任研究員)

【内容】

<目次>

官邸の作り方 五則
はじめに
1. 政権の柱を立てる
政権の3つの柱とその極意(概念図)
  • A スケジュール管理
  • B 人材登用
  • C 政策プログラム
2. 政権の可能性を広げるのは総理の「器」
おわりに 着実な安定政権を目指して
policy_202406201

本文を読む
PDF

View more

お問い合わせ

注目コンテンツ