PHP「新しい開放経済と日本の未来」研究会
中間層の衰退を背景にしたグローバル化への反発、地政学的緊張、脱炭素等社会転換への要請などを背景に、多くの国が保護主義や自国中心主義に傾き、産業政策を復活させています。
サプライチェーン再編や投資シフトが日本にとって有利に働いている面もあるものの、保護主義的傾向が強まれば、競争による独占抑制効果や市場機能による効率性も低下し、日本や世界経済の停滞をもたらすものと懸念されます。とりわけ資源エネルギーや食料で自立できず、人口も減少する日本にとっては、生存のための基礎的条件を確保する上でも開かれた国際経済環境が必要不可欠です。
米中対立、コロナ禍、ウクライナ戦争を経た世界において、グローバリゼーションや市場万能主義を無批判に奉じ、市場に任せていさえすればうまくいくと楽観することはもはやできず、グリーンシフトや安全保障において政府が果すべき役割があることも明白です。
しかしそのことは、市場の論理や経済の論理を無視してよいということを意味しません。これからの日本に求められることは、大国間競争や産業パラダイムシフトという条件の下で、新しい自由経済、開放経済のあり方を確立することではないでしょうか。
日本経済は、近年成熟した債権国へと移行していますが、直接投資が日本に還流せずに現地で再投資され、また円安の進行で日本からの追加投資も以前より難しくなっています。その上、中国をはじめとする新興国との競争や巨大なデジタル赤字にも直面しており、こうした点に鑑みて日本経済や日本の総合国力の次の戦略を考えるべき時期と言えるでしょう。
本研究会は、以上のような問題意識に立ち、新しい開放経済のあり方と国民の生活基盤を確保する日本の勝ち筋について検討します。新しい国際環境において、開放性に軸を置くレジリエントな日本経済の姿、貿易立国、投資立国に続く新しい国家像を示すことを目指します。
【PHP「新しい開放経済と日本の未来」研究会】(敬称略・順不同)
メンバー
- 吉崎達彦
- (双日総研チーフエコノミスト) ※座長
- 唐鎌大輔
- (みずほ銀行チーフマーケット・エコノミスト)
- 滝田洋一
- (名古屋外国語大学特任教授)
- 戸堂康之
- (早稲田大学政治経済学術院教授)
- (PHP総研代表・研究主幹)
オブザーバー
- 林 伴子
- (東京大学公共政策大学院非常勤講師)