PHP「内閣政治」研究会
政策シンクタンクPHP総研は、2019年に『統治機構改革1.5&2.0―次の時代に向けた加速と挑戦―』を発表し、橋本行革から始まる政治改革・統治機構改革を統括し、今後のあるべき方向性と課題を提言しました。
本研究会では、統治機構のなかでも主として内閣政治の「運用」の側面に着目し、民主的な手続きにより選出された政治リーダーが、非選出の官僚組織を統率して公共善に即した成果を上げるリーダーシップのあり方について考えます。
その際、『統治機構改革1.5&2.0』において「内閣におけるコア・エグゼクティブ(中核的執政)のチーム化の方法論の確立」が主要課題の一つと指摘したように、政治と官僚組織の相互浸透をデザインし、力強い政策統合を担うチーム形成を主要な検討事項の1つとすることが必須であると考えます。その一端は、PHP総研が2015年に公表した『国家安全保障会議-評価と提言-』で示されていますが、国家安全保障領域にとどまらない内閣政治の全体像を明らかにする必要があります。
内閣官僚が蓄積している手続き的知識や実践的知識も重要でしょう。さらには、官僚組織の統率のみならず、議会や政党との関係など立法府との相互浸透のあり方や独立機関との関係、政権を組織するに先立って必要となる準備などを含めて幅広く検討していきます。
平成の30年を通して強化された官邸機能や政治主導を、リーダーである政治家自身をはじめとする当事者がどのように認識し、政権運営においてどのような葛藤や工夫を重ねてきたのでしょうか。こうした問題意識を元に、政権運営の実態を多面的に解明し、これまで暗黙知として共有されてきたものを顕在知として言語化するとともに、よりよいあり方を提言することを目指します。