PHP「2050年のパワー構造と日本の対外戦略」研究会

問題意識および目的

米中対立が軍事、貿易、ハイテクから人権、体制にまで広がりを見せる中で、今後の世界を自由民主主義体制と権威主義体制の相克を通してみる傾向が強まっています。米国政府によるフレンドショアリングの提唱など、信頼や友好の度合いに応じて経済関係を再編成しようとする動きも加速しています。しかし、実際には、世界の多くの国がそのいずれにもつかない立ち位置を示しており、民主vs強権や米中対立のレンズのみでこれからの国際秩序を展望することには限界があります。

 

人口動態や経済的な潜在力等から30年後の世界を展望してみると、米国、欧州、日本という先進自由民主主義諸国、中国、ロシアの権威主義諸国に加えて、いずれにも属さないインド、インドネシアが国際政治を左右する大国としての地位を確立している可能性が高く、ベトナム、トルコ、ブラジルなどもその戦略的な重みを増しているでしょう。

 

現在日本と世界は急激なパワー構造の変化とそれにともなう不安定化に直面していますが、状況に対応するばかりではなく、中長期的な趨勢に適合する望ましい国際秩序を構想し、その実現をはかっていくことも必要です。

 

本研究会では、米中の狭間で独自外交を展開する新興諸国が存在感を増す2050年前後のパワー構造を見据えて、日本の対外政策のあり方を考えます。そして、当面の緊張状態を戦略的に管理しつつ、その先に、より安定的であり、かつ日本の利益と価値とも親和的な、機能する国際秩序を形成するための条件を探り、その過程で日本が建設的な影響力を発揮する方途を提言することを目指します。

【PHP「2050年のパワー構造と日本の対外戦略」研究会メンバー】

納家政嗣
(上智大学・一橋大学名誉教授、PHP総研客員研究員)※座長
伊藤 融
(防衛大学校教授)
佐藤百合
(国際交流基金理事)
山口信治
(防衛研究所主任研究官)
金子将史
(政策シンクタンクPHP総研代表・研究主幹)

(敬称略・順不同)

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