22世紀の人間像研究会

科学技術の飛躍的な進歩が現代人の便利で豊かな生活を可能にする一方で、拡大し続ける人類の活動は、地球環境に深刻な影響を及ぼしています。また、人工知能やバイオテクノロジーの発展は「人間らしさとは何か」という新たな問いを私たちにつきつけています。

人間とはいかなる存在か――。
私たちは深く問うことのないままに、新しい社会を形づくろうとしているのではないでしょうか。社会の分断が顕著になり、科学技術の進展を背景に人間のあり方が抜本的に変わり得る時代を迎えつつある今こそ、人間を多面的に捉え直し、これからの世界に適した人間像を改めて考え直すことが不可欠でしょう。

「人間とは何か」という問いは、PHP研究所にとっての原点でもあり、創設者・松下幸之助は、終戦後の混乱に直面し、本来は繁栄・平和・幸福の実現を望んでいるはずの人間が、互いに争いを繰り返し、みずから不幸や貧困を招いている姿に強い疑問を抱きました。そして1972年に『人間を考える』を出版し、「新しい人間観」を提唱しました。

松下幸之助はその中で、人間を物心一如の繁栄・平和・幸福を実現するに値する「万物の王者」とする力強い人間像を提示するとともに、個々の知恵には限りがあり、衆知を結集して大きな力を発揮すべきと強調しています。人類規模での混迷に直面する今日、古今東西の叡智に学び、個別の課題領域を超えて、人間のあり方に立ち返る議論が求められています。

そこで本研究会は、科学技術の進展や情報環境の変質、人新世と呼ばれる地球環境の転換、国家間対立や格差等の社会的矛盾の拡大など、22世紀を視野に入れた広い文脈で「人間」を考え、新たな人間像を描いていくためにどのような観点から問いを立てるべきか、どのような視座や枠組みが求められるのかを探求していきます。

【22世紀の人間像研究会委員】(50音順、敬称略)

磯野真穂
(東京科学大学リベラルアーツ研究教育院教授)
先崎彰容
(社会構想大学院大学社会構想研究科長・教授)
高梨直紘
(東京大学エグゼクティブ・マネジメント・プログラム室特任准教授)
為末 大
(Deportare Partners代表、元陸上競技選手)
中嶋 愛
(政策シンクタンクPHP総研特任フェロー、虎ノ門ヒルズGlass Rockプログラムディレクター、同志社大学客員教授)

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