日本文明研究会
大国を巻き込む国家間戦争の再燃、米中の戦略的競争、自国第一主義による国際協調の不全やハイパーグローバリゼーションからの揺り戻し、パンデミックや環境問題など、現代世界は様々な課題に直面しています。日本も急速に進む少子高齢化、デジタル化やビッグデータ、人工知能をはじめとする技術革新によって、劇的な社会変化を経験しつつあります。
このような状況において、今こそ求められるのは文明論的な視座ではないでしょうか。環境変化の圧力や不確実性に翻弄されるばかりでなく、日本自らのあり様、自らを規定する思考法や認識枠組み、世界における自らの位置づけを問い直していくことが不可欠と言えます。
社会構造の巨大な変化や国際秩序の変動を前にして、現代日本が往々にして立ちすくみがちであり、継承すべきものを明確にすることも、大きな方向転換を図ることもできないのは、突き詰めれば、私たち日本人自身が日本文明の本質を見失っているからとも言えるでしょう。
そこで本研究会は、日本の文明的な性格がいかなるものかを、思想・宗教、文化文芸から家族、組織原理、政治、経済社会にいたるまで多角的な視点で検討し、世界の文明構造の転換(文明間関係、デジタル化や人新世状況の影響)も念頭に置きながら、新たな知見として社会に提示していくことを目指します。
本研究会は、日本文明を自覚的に描出(再創出)する総合的な知的営為を触発し、専門家が分野を超えて交流する場と位置付けられます。日本文明に関する骨太な検討を進めながら、議論の過程をWeb Voiceで広く社会に公表していきます。
【日本文明研究会委員】(50音順、敬称略)
- 河野有理
- (法政大学法学部教授)
- 藤本龍児
- (帝京大学文学部教授)
- 三宅香帆
- (文芸評論家)