【提言報告書】
開かれたジャパン・ファースト宣言
― Japan First Economic Strategy with Principled Openness―

PHP「新しい開放経済と日本の未来」研究会は、日本経済の新たな指針として、「開かれたジャパン・ファースト宣言(Japan First Economic Strategy with Principled Openness)」を提唱します。

2020年代後半は、世界の分断が進み、トランプ政権が非伝統的な政策を展開する不透明な時代となることが予想されます。日本としても不安は絶えませんが、状況対応に終始することなく主体的に判断していくことが肝要です。日本経済は今や世界の4%のシェアに過ぎず、今までよりも自国本位に考えることが許されるでしょうが、日本は自国ですべてを賄うことはできず、孤立して生きていくことはできません。「ジャパン・ファースト」といっても、あくまで世界を視野に入れながら国益や競争力を追求するものであることが不可欠です。

幸いなことに、日本経済には歴史的なチャンスが訪れています。長らく続いた「物価と賃金と金利」という3つのゼロの時代が終わり、企業と政府部門には明るさがみられます。他方で、円安の進行により、家計部門の回復が遅れていることが緊要な課題として浮上しています。

こうした状況認識をふまえて、本提言報告書は3つの解決策を提案します。

①「シン・産業政策」の時代を先取りする

②国内インフラ投資と「EX」を推進する

③自動車産業の「覇権」を長期化する

日本経済が「物価と賃金の好循環」を軌道に乗せ、長期的には「為替に一喜一憂することのない」状態を目指すには、これらの施策を同時に進めなければなりません。民間人を中心とした「開かれたジャパン・ファースト経済会議」を設置し、今後の変化に素早く対応するための柔軟な官民協力の仕組みを構築していくことが望まれます。

本提言報告書が大きく変化する国際環境における新しい開放経済のあり方についての議論を幅広く喚起し、これからの日本の勝ち筋を見出す契機となることを願ってやみません。

【PHP「新しい開放経済と日本の未来」研究会】(敬称略・順不同)

メンバー

吉崎達彦
(株式会社双日総合研究所チーフエコノミスト)※座長
唐鎌大輔
(みずほ銀行チーフマーケット・エコノミスト)
滝田洋一
(名古屋外国語大学特任教授)
戸堂康之
(早稲田大学政治経済学術院教授)
金子将史
(政策シンクタンクPHP総研代表・研究主幹)

オブザーバー

林 伴子
(東京大学公共政策大学院非常勤講師)

【内容】

<目次>

本提言報告書の要旨

はじめに:まず意識の転換を

(1)現状認識:歴史的なチャンスの到来

(2)課題:円安という伏兵に泣く日本

(3)提案:3つの解決策を

  • 3-1:「シン・産業政策」の時代を先取りせよ
  • 3-2:国内インフラ投資と「EX」を推進せよ
  • 3-3:自動車産業の「覇権」を長期化せよ

(4) 結び:「開かれたジャパン・ファースト経済会議」の設置を

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