歴史的転換点の日本外交
-『Voice』2023年6月号特集-

『Voice』2023年6月号

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国際情勢がかつてなく不透明さを増すなか、G7広島サミットが開催されます。

ロシアによるウクライナ侵略はもとより、現状秩序に対する中国の挑戦、エネルギー問題や気候変動、世界的な物価の高止まりなどグローバル経済の変調と、G7諸国が結束し、パートナー国とも協力して対応せねばならない課題は山積しています。

民主対専制の図式に収まらない、いわゆるグローバルサウス諸国へのメッセージも必要です。皮肉にも、被爆地広島における初のサミットは、かつてなく顕在化した核使用や核恫喝のリスクにも向き合わざるを得ません。

目まぐるしく変化する状況への機敏な適応は避けられませんが、現在のような時代の転換点には、今後の国際秩序をどのように展望するのか、日本外交が何を基軸として中長期的にいかなる針路をとるべきなのかについて、一歩引いた眼で考えることも必要ではないでしょうか。広島サミットも、そうした大きな構図のなかに位置づけてこそ、一過性の外交イベントを超えた歴史的意義をもつはずです。

政策シンクタンクPHP総研は、月刊誌『Voice』2023年6月号の特集「歴史的転換点の日本外交」に企画協力し、米中の対峙構造における日本の立ち位置、核秩序が変質するなかでの安定の模索、グローバルサウスを代表するインドとインドネシアの戦略的位置づけ、現代世界を左右するエネルギーを握る中東の構造変化など、国際政治のパラダイムシフトを見据えながら、日本外交の中長期的な方向性を考察しました。さらに歴史や文明の視座、企業からの観点、日本のアイデンティティのあり様を掘り下げ、日本外交が依って立つべき座標軸を探ります。特集のラインナップは本ページ下部の「内容」にてご覧いただけます。

外交は平和の礎、繁栄の基です。日本の外交力の真価が問われるいま、日本外交がとるべき針路についての議論のきっかけとしていただければ幸いです。

【内容】

  • 分断と混沌を乗り越える外交力とは 谷内正太郎(富士通フューチャースタディーズ・センター理事長/元国家安全保障局長) 宮本雄二(宮本アジア研究所代表/元駐中国特命全権大使) ウクライナ侵略戦争、中国の膨張、台湾有事の可能性、米国の衰退――。世界が直面する外交的課題と、日本が果たすべき使命について、外務省同期でもある初代国家安全保障局長と元中国大使が徹底議論。
    谷内正太郎(富士通フューチャースタディーズ・センター理事長/元国家安全保障局長) 宮本雄二(宮本アジア研究所代表/元駐中国特命全権大使)
  • 21世紀の文明的課題と日本の責務 中西 寛(京都大学法学研究科教授) 現代の国際政治が大きな転機にあるのはたしかだが、他方で、マクロな「文明」という視点から論じなければ、見えてこない世界の課題と日本の外交的な役割もある。私たちは将来の敵ないし難問をどう捉えるべきか。 中西寛(京都大学法学研究科教授)
  • 近代の危機と「普通の国」の使命 先崎彰容(日本大学危機管理学部教授) ロシアが欧米中心の世界秩序に挑戦し、戦間期を髣髴とさせる光景が眼前に広がるいま、日本外交の将来像をどのように描くべきなのか。90年代に展開された外交論もふまえて検討する。 先崎彰容(日本大学危機管理学部教授)
  • 日本近代史に見る「価値的外交」と課題 奈良岡聰智(京都大学大学院法学研究科教授) 明治以降の日本外交の来歴を振り返ったとき、どのような一貫性を見出すことができるのか。価値観外交の変遷から今日の課題を考察する。 奈良岡聰智(京都大学大学院法学研究科教授)
  • アジアの平和と核秩序を考える 岩間陽子(政策研究大学院大学教授) ウクライナ戦争によって直接の打撃を受けている世界の核秩序。中国も大規模核軍拡を展開しているいま、アジアの秩序をどう守るべきなのか。そして、日本が果たしうる役割とは――。 岩間陽子(政策研究大学院大学教授)
  • 「多極世界」の誘惑に揺れる中東 池内 恵(東京大学先端科学技術研究センター教授) 恐れるべきは中東の「不安定化」ではなく、中国の影響力による「安定化」。 池内恵(東京大学先端科学技術研究センター教授)
  • 20年後も国際的影響力をもつために 石井正文(前駐インドネシア大使/学習院大学特別客員教授) 画期的な内容であった昨年末の安全保障3文書改定。しかし、すべての戦略は「未来」の国際情勢を考察したうえで描かねばならない。インドやインドネシアの存在感が増すなかで、日本がとるべき国家戦略とは。 石井正文(前駐インドネシア大使/学習院大学特別客員教授)
  • 重視すべきは価値観よりもルール 國分文也(丸紅株式会社取締役会長) 安全保障と経済合理性の両立が求められる時代、企業から見た現実的かつ望ましい国際秩序とはいかなるものか。日本を代表する商社である丸紅の会長を務め、APECビジネス諮問委員会の日本委員としても活動する國分文也氏に聞いた。 國分文也(丸紅株式会社取締役会長)

論壇誌『Voice』のご案内

論壇誌『Voice』は、昭和52年12月に、21世紀のよりよい社会実現のための提言誌として、PHP研究所の創設者である松下幸之助の強い想いとともに創刊された論壇誌です。

 

次々と起る世界的、歴史的な変革の波に、日本社会がどのように対応するかが差し迫って闘われる今日、『Voice』はビジネス社会の「現場感覚」と「良識」を基礎としつつ、つねに新鮮な視点と確かなビジョンを提起する総合雑誌として、各界のみなさまからも注目されています。各紙論壇時評においても頻繁に取り上げられおります。

 

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