【PHP総研特別レポート】
言説の対抗と米中関係─歴史、理論、現状
現在、米中間では、経済、安全保障の分野において、厳しい競争が展開されている。それと同時に、イデオロギー、言説、あるいはナラティブ(物語、story)などいわゆるイディエーショナル(ideational)な分野での激しい対立/対抗がみられる(Friedberg, 2017, 2018; Mahnken, Babbage, and Yoshihara, 2018; Erickson, 2019)。「価値の戦争」や「ナラティブの戦争」あるいは「話語戦」という言葉さえ聞かれる。米中の対抗を考えるためには、安全保障、経済に加えて、この第3の分野でのダイナミズムを理解することが必須となる。
本稿の目的は、米中関係の展開を念頭に、言説やナラティブ、話語、さらに言説力、ナラティブ力、話語権と呼ばれるものを理論的に明らかにし、また時系列的に現実(特に米中関係)の展開と理論の展開とのかかわりを明らかにしようとするものである。
【内容】
─C. Paul (2011) とCornish, et al (2011) を中心に
References