【提言報告書】「レジリエントな日米関係構築に向けた提言」
2016年の米国大統領選挙は、トランプ氏の勝利という劇的な結果をもたらしました。トランプ政権の誕生による米国の方向転換、今回の大統領選挙が映し出した米国社会、米国政治の変貌は、米国を同盟国とするわが国にとってもきわめて大きな影響を及ぼすものと考えられます。
米国が歴史的な転換の最中にあることに鑑みれば、防衛分野をはじめ日米の同盟協力の具体的なあり方を考えるとともに、この「新しい米国」をどのように理解し、いかに関与していくのか、同盟運営の前提である人的なつながりや相互認識をどのように構築していくかを、根本から、また中長期的観点から考え直すことが不可欠ではないでしょうか。
こうした問題意識に基づいて、政策シンクタンクPHP総研は「変貌する米国社会とレジリエントな日米関係研究会」を立ち上げ、検討を重ねてまいりました。本提言報告書は同研究会の成果をまとめたものです。日本が新しい米国とどう向き合い、いかに関わっていくかを考える際の参考にしていただければ幸いです。
※提言報告書全文は、PDFでご覧いただけます
http://thinktank.php.co.jp/wp-content/uploads/2017/01/resilient170118.pdf
【「変貌する米国社会とレジリエントな日米関係プロジェクト」メンバー】(50音順)
- 折木 良一
- /第三代統合幕僚長
- 金子 将史
- /政策シンクタンクPHP総研首席研究員
- 西川 賢
- /津田塾大学学芸学部国際関係学科教授
- 横江 公美
- /東洋大学グローバル・イノベーション学研究センター客員研究員
- 渡辺 靖
- /慶應義塾大学環境情報学部教授
【内容】
<目次>
はじめに
[レジリエントな日米関係構築のための緊急提言パッケージ]
【第1部】米国社会の変貌に関する分析
- 1.はじめに
- 2.有権者の世代交代
- 3.人口移動の影響
- 4.人口構成の変容
- 5.経済的停滞・政治的停滞とポピュリズムの台頭
- 6.おわりに
【第2部】日本にとっての含意
【第3部】レジリエントな日米関係構築に向けた提言
- 1.トランプ新政権への対応
- 2.変化する米国社会に対する理解
- 3.米国社会との多層的な対話
- 4.日本側の課題
<プロジェクト・メンバー略歴>(50音順)
折木良一/第三代統合幕僚長
1950 年熊本県生まれ。72 年防衛大学校( 第16 期) 卒業後、陸上自衛隊に入隊。97 年陸将補、2003 年陸将・第9 師団長、04 年陸上幕僚副長、07 年第30 代陸上幕僚長、09 年第三代統合幕僚長。12 年に退官後、防衛省顧問、防衛大臣補佐官(野田政権、第二次安倍政権)などを歴任。11 年の東日本大震災では災害出動に尽力。著書に『国を守る責任』(PHP新書、2015年)がある。
金子将史/政策シンクタンクPHP総研首席研究員
1970年生まれ。東京大学文学部卒。ロンドン大学キングスカレッジ戦争学修士。松下政経塾塾生等を経て現職。外交・安全保障分野の研究提言を担当。著書に『パブリック・ディプロマシー戦略』(共編著、PHP研究所、2014年)、『日本の大戦略―歴史的パワー・シフトをどう乗り切るか』(共著、PHP研究所、2012年)、『世界のインテリジェンス』(共著、PHP研究所、2007年)等。「国家安全保障会議の創設に関する有識者会議」議員等を歴任。外務省「科学技術外交推進会議」委員、同「ジャパン・ハウス有識者諮問会議」委員。国際安全保障学会理事。
西川 賢/津田塾大学学芸学部国際関係学科教授
1975年生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒。同大学大学院法学研究科後期博士課程修了、博士(法学)。日本国際問題研究所研究員、九州大学法学部客員准教授、一橋大学社会学研究科客員准教授などを経て現職。著書に『分極化するアメリカとその起源-共和党中道路線の盛衰』(千倉書房、2015年)、『ビル・クリントン-停滞するアメリカをいかに建て直したか』(中公新書、2016年)、『ニューディール期民主党の変容-政党組織・集票構造・利益誘導』(慶應義塾大学出版会、2008年)等。日本比較政治学会理事、日本選挙学会理事。
横江公美/東洋大学グローバル・イノベーション学研究センター客員研究員
1965年生まれ。明治大学卒。デジタル時代のシンクタンクの役割で千葉商科大学大学院で博士号取得(政策)。2017年4月東洋大学グローバル・イノベーション学科教授に着任予定。コラムニスト(毎日新聞・経済観測寄稿)。TBS「ひるおび!」月曜コメンテーター。松下政経塾、VOTE ジャパン(株)社長を経てアメリカ5 大シンクタンクのヘリテージ財団で上級研究員をつとめた。2016年4月に出版した『崩壊するアメリカ―トランプ大統領で世界は発狂する!?』(ビジネス社)が話題になっている。そのほか著書に『アメリカのシンクタンク』(ミネルヴァ書房、2008年)、『日本にオバマは生まれるか』(PHP新書、2016年)、『第五の権力』(文春新書、2008年)などがある。
渡辺 靖/慶應義塾大学環境情報学部教授
1967年生まれ。1997年ハーバード大学で博士号を取得(社会人類学)。オックスフォード大学、ケンブリッジ大学の客員研究員などを経て、現職。専門はアメリカ研究、文化政策論。2003-2004年に国際交流基金安倍フェローとしてハーバード大学ウェザーヘッド国際問題研究所に所属。2005年に日本学士院学術奨励賞受賞。2007年にケンブリッジ大学ダウニングカレッジフェロー。アメリカ学会理事、外務省「広報文化外交の制度的あり方に関する有識者懇談会」委員、「外交」編集委員、朝日新聞書評委員などを務める。単著に、『アフター・アメリカ-ボストニアンの軌跡と〈文化の政治学〉』(慶應義塾大学出版会、2004年、サントリー学芸賞、アメリカ学会清水博賞)、『文化と外交:パブリック・ディプロマシーの時代』(中公新書、2011年)など。編著にSoft Power Superpowers: Cultural and National Assets of Japan and the United States (2008)など。