東日本大震災からの復興に向けた第二次提言
■提言 被災市町村は「復興ビジョン」の早期策定を
- (1)東日本大震災からの復興に向けて、国・県・市町村は適切に役割分担すべきであるが、地域の復興・再建については、住民に最も近い公共団体である市町村が主役と位置づけられる。今なお多数の行方不明者や避難住民がある中で、また、目前のがれき処理や仮設住宅建設に追われる中で、本格的な復興に舵を切るには躊躇もあろうかと思われるが、市町村には住民に対して復興に向けた道すじを示すという重要な責務があることを忘れてはならない。
- (2)その役割を明確にするため、被災市町村は「復興ビジョン」を早期に策定すべきである。大震災から3か月後には「素案」を、6か月後には「最終案」をまとめることが目安となろう。とりわけ早期に素案を示すことが、住民の将来展望を拓く上で重要である。既定の長期計画や関連計画は当面棚上げすることとし、これらに代わる基本計画として復興ビジョンを位置づける。復興ビジョンの計画期間は、策定時点の首長任期にもう一期を加えた4~8年とすることが妥当である。その後は、新たな長期計画を策定する。
- (3)復興ビジョン策定に際しては、地域住民の合意形成を重視することを原則とする。そのため、旧町村や集落など地域の基礎単位を再確認する必要がある。復興ビジョンには、復興に向けた「基本理念」を定めるとともに、「生活再建」「防災対策」「地域振興」などの各分野について、地域の復興に資する施策を盛り込む。また、「緊急期(数か月程度)」「復旧期(一年程度)」「復興期(数年程度)」などに分けて取組みの工程(段階)を示し、復興に向けた見取り図を地域住民と共有することが大切である。
- (4)国や被災県においても復興計画の検討が進んでいるが、市町村の復興ビジョンの策定・実施に対して、補完性・近接性の原理にもとづいて最大限の財政的・制度的・人的支援を行うことを明示すべきである。また、地域防災力を高めるための集落移転や建築制限など、住民の基本権に影響を及ぼす施策については、国が適切に制度設計したうえで、被災者に最も身近な市町村が実施主体となり、地域の実情に応じて推進することが望ましい。
- (5)被災市町村が策定する復興ビジョンの構成案として別表を例示する。
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(復興ビジョンの構成案もご覧になれます。)
(2011年4月27日掲載)
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