金融危機についての緊急提言【4】
― 金融危機の到来―

(1)危機の現実化

 地価の下落傾向、金融機関の収益鈍化(超低金利による業務純益のピークアウト)、一部金融機関の経営悪化・破綻、不良債権処理の遅滞化、そしてこれらの象徴として「株安と円安のスパイラル化」から金融不安が発生、金融パニックが現実化する危険が高い(図表4参照)。それは次の五つのシナリオのもとで起こりうる。


(2)金融危機のシナリオ

A.株安⇔円安シナリオ

なし崩し的な金融破綻のもとで、株安そして円安がじりじり進行し、金融機関が破綻する。政府は有価証券取引税の廃止、地価税の再検討さらに特別減税延長など対症 療法的施策を出すが、資本流出が続き、金融不安が高まり、市場にクラッシュが発生する。
株安⇔円安シナリオ
B.資本逃避シナリオ

円安進行に伴って、日本からのキャピタル・フライト(資本逃避)が増大し、円安そして株安がさらに進み、金融不安が高まり、クラッシュとなる。
資本逃避シナリオ
C.流動性危機シナリオ

株安や収益悪化などから一部の銀行から資金流出が強まり、資金繰りが悪化し、戦後初めての流動性危機が発生し、クラッシュとなる。
流動性危機シナリオ
D.外貨流動性危機シナリオ

株安から一部銀行が海外での外貨調達において大幅なジャパンプレミアムの支払いさらには外貨調達難に見舞われ、外貨の資金繰り悪化に直撃される。これが国際的な金融クラッシュの引き金になる恐れがある。
外貨流動性危機シナリオ
E.破綻決算シナリオ

期末決算が監査法人の承認を得られないケースが発生した場合、金融不安が一気に高まる。 破綻決算シナリオ

注目コンテンツ