PHP総研シンポジウム「企業は社会の公器―これからの社会をつくる企業経営とは」
PHP総研では、現代社会における企業の存在意義の重要性を踏まえ、『企業は社会の公器-これからの社会をつくる企業経営とは』を研究報告として発刊しました。研究報告では、グローバル企業から地域に根差した小さな企業といった個性あふれる9社の事例研究を通じて、「社会の公器」たる企業経営の具体像について、日々の工夫を含めて、明らかにしました。この度、同報告で取り上げた9社の方々に登壇いただき、「企業は社会の公器」について、公開シンポジウムを開催しました。
9社からの日々の実践に関する報告、そして、全体のまとめセッションを含めた4時間強の長時間のシンポジウムとなりましたが、会場からの質問も活発で、登壇者、参加者が一体となって、これからのあるべき社会の方向性、これを担う企業と経営のあり方について、一緒に考える場を持つことができました。
まとめセッションでは、社会にとっての利益と事業にとっての利益を「統合」する意義、そのために必要な長期思考、自社の事業プロセスと製品・サービス全体を見渡すバリューチェーンから社会にとってのプラスとマイナスの価値を具体的に見出すプロセス、働き甲斐と人材育成の重要性、そのために必須となる自社の社会における存在意義とコミュニケーション等、「社会の公器」たる企業である9社に共通するエッセンスについても、共有しました。
【「まとめセッション」でモデレーターの亀井善太郎が使用したスライド】
各社の事業領域、規模は多種多様ですが、「社会の公器」たる企業として、厳しい現実に目を背けずに真正面から向き合い、自分たちが社会において「やるべきこと」を明らかにして、一人ひとりの力を信じて組織の力で臨み続ける、そのために努力を惜しまない、それぞれの「経営」があること、そして、そこに揺るがぬ思いと大きなエネルギーがあることを実感する充実した時間となりました。
企業経営、企業活動を通じて、よりよい社会を作っていくことは、PHPの創設者である松下幸之助の考えであり、現代社会においては、その責任と可能性はますます大きなものとなるでしょう。また、これは、企業経営そのものにとっても重要な視点です。私たちは、引き続き、こうした分野の研究を進め、社会の実践につながる発信を継続してまいります。
―プログラム―
12:30 | 開場 |
13:00 | 開会(主催者あいさつ、全体像の説明) |
事例研究発表(前半5社予定) | |
・ネスレ日本世界の中で日本の個性と可能性をはっきり見せたジャパン・ミラクル嘉納 未來(ネスレ日本株式会社 執行役員コーポレートアフェアーズ統括部長) ・SOMPOホールディングス(損保ジャパン日本興亜)次なる社会を担う人と組織をつくるCSR経営市川 アダム博康(SOMPOホールディングス株式会社兼損害保険ジャパン日本興亜株式会社 CSR室課長) ・アインズ社会の変化を乗り越え、社会の課題を稼ぐ力に大森 七幸(アインズ株式会社 代表取締役社長) ・石井造園全員参加型CSR経営でまちを人育ての現場に石井 直樹(石井造園株式会社 代表取締役) ・五常・アンド・カンパニー社会起業型マイクロファイナンスが担う現代のパブリック菅井 夏樹(五常・アンド・カンパニー株式会社 ヴァイス・プレジデント) | |
休憩(15分) | |
事例研究発表(後半4社予定) | |
・黒木本店人と大地が一体となった生き方とものづくりを形に ・南山城「村で暮らし続ける」を支える地域商社としての道の駅森本 健次(株式会社南山城 代表取締役社長) ・N9.5(まち暮らし不動産)人とひとをつなぎ、毎日の暮らしをちょっと豊かに齊藤 志野歩(株式会社エヌキューテンゴ 代表取締役) ・ポラリスあたりまえの働き方を自分たちでつくっていく市川 望美(非営利型株式会社Polaris 取締役ファウンダー) | |
まとめセッション | |
総論説明(政策シンクタンクPHP総研 主席研究員 亀井善太郎) | |
質疑応答 | |
17:00(予定) | 閉会 |
開催概要
【日時】 | 2018年10月23日(火)13:00~17:00(開場12:30) |
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【定員】 | 150名 |
【会場】 | 富士ソフトアキバプラザ「アキバホール」 (〒101-0022東京都千代田区神田練塀町3 富士ソフトアキバプラザ5階) 地図 |
【登壇者】 | 嘉納 未來(ネスレ日本株式会社 執行役員コーポレートアフェアーズ統括部長) 市川 アダム博康(SOMPOホールディングス株式会社兼損害保険ジャパン日本興亜株式会社 CSR室課長) 大森 七幸(アインズ株式会社 代表取締役社長) 石井 直樹(石井造園株式会社 代表取締役) 菅井 夏樹(五常・アンド・カンパニー株式会社 ヴァイス・プレジデント) 黒木 信作(株式会社黒木本店 専務取締役) 森本 健次(株式会社南山城 代表取締役社長) 齊藤 志野歩(株式会社エヌキューテンゴ 代表取締役) 市川 望美(非営利型株式会社Polaris 取締役ファウンダー) |
【モデレータ】 | |
【参加対象】 | 経営者/経営幹部、経営企画・CSR・人事部門ご担当者、NGO・NPO、行政、メディア等 |
【主催】 | 政策シンクタンクPHP総研 |
【登壇者略歴】 | 嘉納 未來(ネスレ日本株式会社 執行役員 コーポレートアフェアーズ統括部長) 2001年ネスレ日本入社。お客様相談室長、メディアリレーションズ室長を経て、2017年8月より現職、社内外の広報を統括。 メディア、行政、有識者、地域コミュニティなどステークホルダーとの関係構築に注力している。 市川 アダム博康(SOMPOホールディングス株式会社兼損害保険ジャパン日本興亜株式会社 CSR室課長) 1999年横浜市立大学商学部経営学科卒。2000年に安田火災海上(現損害保険ジャパン日本興亜)入社。2010年4月からCSR室にて、CSRコミュニケーション、CSR・環境マネジメントシステム(ISO14001)に基づくCSRの取り組みの企画・立案を担当。2017年4月より現職。 大森 七幸(アインズ株式会社 代表取締役社長) 1961年3月滋賀県生まれ。早稲田大学卒業後、東京の広告企画会社に就職。 石井 直樹(石井造園株式会社 代表取締役) 1966年生まれ。25歳の時に石井造園株式会社入社。39歳の時に父親から引き継ぎ社長就任。2006年まで一般社団法人横浜青年会議所に在籍し尽力。 菅井 夏樹(五常・アンド・カンパニー株式会社 ヴァイス・プレジデント) 1992年生まれ。ユニクロを経て2015年に当時創業2年目の五常・アンド・カンパニーに入社。東南・南アジアの4ヶ国でマイクロファイナンス事業を中心とした金融サービスを展開している。自身は学生時代に3校の学校をラオスに建設するプロジェクトを主導した。 黒木 信作(株式会社黒木本店 専務取締役) 1988年宮崎県生まれ。明治大学商学部卒業後フランス留学を経て黒木本店に入社。酒類総合研究所にて酒造りについても学び、農業から始まる自然循環型の焼酎造りを実践している。 森本 健次(株式会社南山城 代表取締役社長) 1967年生まれ。地域商社設立を目指し、2015年南山城村役場在職時に道の駅お茶の京都みなみやましろ村の運営会社となる村出資の株式会社南山城を設立し代表取締役社長に就任。道の駅をプラットフォームとし農業や福祉等、村を取り巻く課題解消に取り組んでいる。 齊藤 志野歩(株式会社エヌキューテンゴ 代表取締役) 1979年生まれ。不動産投資ベンチャーにてファンド運営、住宅・商業施設開発等に従事。長男出産を経て2012年N9.5を設立。みかんハウス、okatteにしおぎなど、個人が活かされ尊重されながら、つながりを持てる暮らしづくりに取り組む。 市川 望美(非営利型株式会社Polaris 取締役ファウンダー) 1972年生まれ。出産を機にIT系企業を退職したのち、子育てNPOに参画。2011年より地域における多様な働き方を支える基盤づくりを開始。2012年非営利型株式会社Polaris設立。制約を抱える育児期の女性による多様で柔軟な組織づくりや地域からの新しい価値創造に取り組む。 |
【モデレータ略歴】 | 慶応義塾大学経済学部卒業。日本興業銀行、ボストン・コンサルティング・グループ、衆議院議員等を経て現職。 |