地域主権型道州制における新たな税財政制度

金坂成通 ((株) PHP総合研究所 研究員)

Talking Points

  • 弊社は「地域主権」の先に道州制ありとの観点から「地域主権型道州制」を構想してきた。本稿では、2010年2月に刊行した『地域主権型道州制~国民への報告書』で提起した新たな税財政制度の概要について紹介する。
  • 地域主権型道州制では、国・道州・基礎自治体の新たな役割分担を決定し、それに応じた税源を確保することにより、各地域の財政的な自立性を確保する。そのために消費税を地方の基幹税とし、さらに「共同財源」の創設により地域格差に対応する。
  • 国と地方の役割を大転換すれば、国と地方の歳出割合は「40:60」から「15:85」に激変する。地方の「85」のうち「34」を道州が担い、「51」を住民に身近な基礎自治体が担うことになる。地域主権型道州制においては、基礎自治体が行政の中心的な役割を担い、基礎自治体中心主義が実現される。
  • 税財政の制度設計において、道州制の導入時をイメージした2案(歳出充足型・歳入補完型)と定着時を想定した2案(財源保障型・完全自立型)を提示した。また、共同財源の配分方法と道州間の格差についても検討した。
  • 税財政の大胆な組み換えを行っても、フローの面からは持続可能な制度設計とすることができる。民主党政権の地域主権改革では税源移譲について未だ踏み込んだ検討は行われていない。本案をひとつの手がかりとして議論が進むことを期待したい。
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