『教育委員会による点検評価』をチェックする
―形式主義を打破するための制度は機能しているか―

亀田徹 (政策シンクタンク PHP総研 主席研究員・教育マネジメント研究センター長)

Talking Points

  • 教育委員会がその事務の管理・執行状況を点検評価する制度が導入されてから3年が経過した。文科省は点検評価の現状に関する調査を行っているものの、同省の調査だけでは点検評価の実態を把握できない。
  • 点検評価制度の目的は(1)効果的な教育行政の推進、(2)住民への説明責任である。「効果的な教育行政の推進」につながるような点検評価が行われているかに着目し、点検評価の実態を調査した。
  • 調査結果から大きく2つの問題点が浮かび上がった。第1は、点検評価報告書に記述されている今後の対応や課題の中味が抽象的であり、具体的な改善策になっていない点である。抽象的な記述だけでは、年度ごとに点検評価を実施する意味はほとんどないといってよい。第2は、施策目標が明確に設定されていない、あるいは総花的な施策目標となっている点である。
  • これまでの点検評価方法では制度の目的を十分に実現することはできない。各教育委員会は次のように点検評価方法を見直すべきだ。
     まず、点検評価の対象とする施策を絞る。そのうえで施策の目標を明確化・重点化し、目標達成のための具体的な改善策を提案する。具体的な改善策の提案が、「効果的な教育行政の推進」という制度の目的を実現するためにもっとも重要なポイントである。
     さらに、地教行法が学識経験者の知見の活用を定めていることから、PDCAサイクルが確実に回っているかを学識経験者がチェックすべきと考える。
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