PHP「文明構造の転換と日本の戦略」研究会
趣旨
今日の世界は米中の覇権競争、自国第一主義による国際協調の不全や同盟関係の不安定化、パンデミックや環境問題など様々な課題を抱えています。同時に、デジタル化やビッグデータを軸にした革新的技術の実装化により第四次産業革命とも称される社会変化を経験しつつあります。
こうした状況下では、日本外交は状況変化や不確実性に日々適応するとともに、巨視的な視点をもって適応の方向性を絶えず位置づけていく文明論的な視座が必要ではないでしょうか。
現下の状況は、一方で、米国、中国、欧州、インド、ロシア、イラン、トルコといった「文明的大国」が自己主張を強めているとみることができます。米中覇権競争の本格化は、文明的大国が対立し、距離を置く世界の到来を予見させます。
農業文明、工業文明に続くポスト工業文明がいかなるものになるのか、それが国際秩序にいかなる影響を及ぼすのかも見定める必要があります。環境問題、資源エネルギー問題などが顕在化している地球圏の中で人類文明を位置付ける視点も欠かせません。現代世界の文明構造が、こうした人類共通の課題において正負どのような意味を持つかについても検討が必要でしょう。
本プロジェクトは、世界の文明構造(文明的大国間の関係、デジタル化等による諸文明の変質等)が転換する中で、日本外交がいかにあるべきか、日本自身のアイデンティティを文明論的にどう位置づけるかを検討します。日本が歴史的に多大な影響を受けてきた中国の再台頭の文明論的な意味合いについても特に留意します。さらに、文明的大国の対立が本格化する状況において、平和と繁栄を促進し、環境問題など人類共通の課題解決を可能にする文明間秩序のあり方を構想し、その中での日本の役割を考えます。
PHP「文明構造の転換と日本の戦略」研究会メンバー
- 中西寛
- (京都大学大学院法学研究科教授)座長
- 岡本隆司
- (京都府立大学文学部教授)
- 渡辺靖
- (慶應義塾大学SFC教授)
- 金子将史
- (政策シンクタンクPHP総研代表・研究主幹)