2010年 日本への提言
―
総合的で重層的な安全保障―
歴史的な負の資産と部分的な政策の突出は日本の安全保障をさらに歪んだものにするとの問題意識から、日本の安全保障を政策体系として再構築する中長期的プランを提案。
日本が今後直面する安全保障上の課題は、烈度は比較的小さいものの、不確実で多様な危険への対処であり、それには安全保障環境の整備、危険の予防、危険への対処の三つの範疇の政策を有機的に連関させる総合的かつ重層的な安全保障戦略が必要として13項目の具体的提案を行う。
「2010年の世界と日本の総合政策研究会」メンバー
- 安部 文司
- /大阪教育大学助教授
- 草野 厚
- /慶應義塾大学教授
- 田所 昌幸
- /防衛大学校教授
- 田中 明彦
- /東京大学教授
- 中西 寛
- /京都大学助教授
【内容】
【提言書】
第1章 今なぜ安全保障か
- 1.国際社会を生きるマナー
- 2.新たな課題
- 3.安全保障を考える視角
第2章 2010年の世界像
- 1.国際関係の基本構造
- 2.日米関係の今後
- 3.アジアの将来
- (1)朝鮮半島での変化
- (2)中国の今後
- (3)東南アジア情勢の展開
- (4)ロシアの今後
- 4.2010年の日本
第3章 安全保障上の課題
- 1.軍事的脅威
- 2.経済的課題
- 3.トランスナショナルな脅威
第4章 安全保障の手段-多様で不確実な危険に対する柔軟で多層的な対応-
- 1.安全保障手段の重層性
- 2.軍事力の適切な評価
- 3.非軍事的手段の将来
- 4.複合的な施策の有機的な連携
- 整備
- 予防
- 対処
- 〔別表〕安全保障のための具体的方策へのアプローチ
第5章 提言
- 1.肩肘を張らない安全保障マインドの確立をめざして
- (1)市民社会における安全保障マインドの涵養
- (2)責任ある情報ルールの確立
- (3)安全保障コミュニティーの充実のために
- (4)安全保障基本文書の策定
- 2.真の総合安全保障体制の確立へ
- (1)政治によるリーダーシップの確立
- (2)行政体制の整備
- (3)防衛力の再検討
- (4)日本の総合安全保障力を高めるために
- 3.柔らかくしたたかな外国との関わり
- (1)日米関係の管理
- (2)多角的枠組みの強化
- (3)世界経済における日本のイニシアティブ
- (4)国際社会での洗練された自己主張
- (5)国際社会の支持を得るために