緊急提言 包括的金融再興構想【3】
― 包括的金融再興構想 ―

(1)特命大臣による「緊急金融再興本部」の創設

首相は期間3年の特別国務大臣のポストを創設し、金融再興担当の「特命大臣」を任命する。

「緊急金融再興本部」は金融機関の財務の精査を統轄する。精査の基準などの状況設定のもとに、金融調査委員会(金融監督庁、日銀、預金保険機構、民間人などで構成)を組織し実施にあたらせる。

「緊急金融再興本部」は別途「国有財産調査委員会」を組織し、大蔵省理財局を指導しつつ国有財産の再評価を行ない、金融処理に対する国家の与信能力の可能性を確定する。

「緊急金融再興本部」は「金融再生委員会」を組織し、ここに「短期一括処理」を基本とする「包括的金融再興計画」を策定させる。
統括主体

(2)「包括的金融再興計画」の立案と実施

上記の「金融調査委員会」の精査にもとづき、第Ⅲ分類、第Ⅳ分類を直ちに例外なく償却させる(整理回収銀行へ譲渡など)。なお、第Ⅲ分類、第Ⅳ分類の精査にあたっては、第Ⅱ分類を特に厳格に調査し、灰色のものは第Ⅲ、第Ⅳに分類し、第Ⅱ分類に残るものは正常債権化(第Ⅰ分類化)の確度が高いものに限る。

前記の財務調査に基づいてA、B、C、Dのランク付けを行う。Dランクは債務超過の金融機関。Cランクは、大手銀行(「マネーセンターバンク」CL)については自己資本比率8%以下、その他金融機関(CS)については同4%以下とする。A、Bランクは優良銀行(ALは自己資本比率10%以上、BLは同8%以上)とする。

前記Dランクの金融機関は「閉鎖処理」する。なお、Dランクの第Ⅰおよび第Ⅱ分類については、「ブリッジバンク」に統合、管理する(図参照)。

CS(中小金融機関)の不良債権(第Ⅲ、第Ⅳ分類)は「整理回収銀行」に譲度し、第Ⅰおよび第Ⅱ分類は「ブリッジバンク」に統合、管理する(図参照)。

CL(大手銀行)の不良債権は整理回収銀行に譲渡し、第Ⅰおよび第Ⅱ分類は新たに設立する「再編銀行システム」に吸収し、期間2年で、その優良債権をA、Bランクの機関に売却する。したがって、「再編銀行システム」はいわば「ホスピタルバンク」であり、大手銀行の「再編工場」となる。

なお、「ブリッジバンク」は9ブロックに1機関(北海道、東北、東京、関東甲信越、中部、近畿、中国、四国、九州)とし、当初は全額政府出資の優先株とするが、状況に応じて、一般企業(高格付けのメーカー、流通などの参入)の持分を増加させ、将来は民営化する。

「再編銀行システム」は全額政府出資とし、ホスピタル機能を完了した後(2年後)に解散する。損失は公的資金で充当する。なお、「ブリッジバンク」および「再編銀行システム」とも融資原資は政府保証債による調達とする。

当然のことながら、DおよびCランクの銀行の「経営責任」は過去に遡及して明確化する。

なお、「ブリッジバンク」ならびに「再編銀行システム」が健全取引先を認定する基準として、これら融資機関および借り入れ企業は、融資継承時の財務諸表(不良債権内容など)に誤りがなく、簿外債務などが皆無なことを自己申告する義務を負う。
金融処理フレーム

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