財政構造転換にむけての提言【2】
― 提言―

(1)再建目標・期間・対象を明示した「財政構造転換法」を制定せよ
 財政法ならびに個別に歳出義務を定めた予算関連法律を総括し、財政構造の転換、財政民主主義の確立と政策順位の見直し等を実現するため、「財政構造転換法」を制定する。その主な内容は以下の通りとする。

数値目標・総量規制
財政健全化の数値目標・総量規制として、財政赤字の対GDP比率を3%とする。なお、「財政赤字の対GDP比率を3%とする」等の財政再建目標については、「将来コスト」を勘案したベースで評価する。

構造転換対象の明示
 財政再建の対象を一般会計等に矮小化させないため、財政投融資の抜本的見直しを行うことを明示する。

事業別予算制度の導入
 財政構造改革推進に対する内外からの信用を確保するため、事業別(プロジェクト別)予算制度を導入する。

予算会計制度の改革(会計法、予算決算及び会計令等の改正)
 予算の透明性を高めるため、現行の予算会計制度については、発生主義の徹底、減価償却制度の導入等により大福帳的会計処理から脱却する。特別会計や特殊法人等は、機関ごとの会計的自立性を確立し、連結財政表の作成等の措置を行う。また国有財産については時価評価の徹底(国有財産法等の改正)等を図る。

特別会計の改革(各特別会計法の特例)
 特別会計はすべて再建目標年次までの時限制度と読み替え、ゼロベースでの見直しを行う。その上で、5年程度ごとのサンセット方式とする。

補正予算は危機的事項にのみ限定(財政法第29条の特例)
 通年予算を原則とし、再建期間中の補正予算作成は、危機的事項のみに限定する。その財源も予備費と既定経費の節減で賄うことを原則とする。

(2)「エージェンシー実施法」および「公的部門整理法」を制定せよ
 エージェンシー制度の実効性を担保するため、「エージェンシー実施法」を制定すると同時に、公的セクターの整理法体系を整備する。これまで公的セクターは、個別法律の規定等により、永久に存在することを原則として法体系が組まれていたことが、赤字機関の延命等問題を深刻化させてきた。企業同様に、公的セクターにも統一的な整理の方法と見直しの基準を定めておくことが必要である。そのため、行政機構・特殊法人の整理法を制定する。

(3)公共投資・社会保障等中期計画に関する国会議決制度を導入せよ
 現在、閣議で決定されている公共投資や社会保障の中期計画については、国会の議決を要することとする。

(4)政策効果評価の実施・公表を義務づけよ
 「政策効果評価法」を制定し、「OUTPUT」だけでなく「OUTCOME」型のコスト・ベネフィット分析の完全実施を図る。

(5)予算編成を集中方式で内閣に移行せよ
 「予算編成特例法」を制定し、改革期間中は予算編成機能の主体を内閣に移し、財政構造転換に対する責任を明確にする。大蔵省依存ではなく、政治自ら構造転換に責任を持つ姿勢が必要である。その際、予算の大枠・骨格については、内閣が独自で決定する集中方式を採用し、予算と定員管理の一体化等を図る。

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