金融システム再生に向けての提言【4】
― 金融改革の3つの前提 ―

 以上の議論を踏まえて、われわれグループは問題解決の本道として、・何をするか、・いつまでにやるか、・誰がやるか、・どんな仕組みでやるか、・その最終負担をどうするか、を念頭に「7つの提言」をまとめることとした。それに先立って、次の3つを提言の前提に置く。

<早期決着>

  膨大な不良債権処理に、これまでのような「先送り」や「小手先」や「場当たり」で対応すれば、事態が一層深刻化するのは必至だ。具体的には信用収縮(貸し渋り)の拡大化によって景気にデフレ圧力が加わり、これがさらに金融不安を増幅させ、恐慌リスクが現実化することである。この最悪シナリオを回避するには、短期一括処理方式で不良債権を早急に清算する以外に選択肢はない。

<信用恐慌心理の徹底的鎮静化>

 金融の基礎は「信用」で、信用の決定は金融機関や監督官庁の側にあるのではなく、資金を預ける国民の側にある。したがって、国民の信用回復のためには国有財産を担保として、信用づくりの新しい基礎とすべきである。このことによって、信用が崩れ、国民が疑心暗鬼に陥り、恐慌(パニック)的な行動に走るのを阻止することが可能となる。

<信頼回復・再発防止のための行政責任>

 金融システムの正常化・安定化が円滑に断行され、国民や市場の信頼感を回復するには、関係者の一新を図ることによって再発防止のけじめをつけるとともに、新しい信用の仕組みを確立することが不可欠である。つまり、これまでの行政責任を明確にすることによって、新しい信用づくりを行う推進主体を創設するのである。

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