日本復興7ヶ年計画【1】
― 経済・産業の構造改革とニュー・パブリック・マネージメントの確立―

1.基本認識
 バブル崩壊後、日本政府は根本的な問題解決を避けて、先送りをしてきた。そして、景気浮揚を旗印に巨額の公債を発行し、景気対策に注入してきた。その結果、わが国の経済と産業の構造改革は遅々として進まず、本格的な経済の自立的回復に至っていない。
一方、大量の公債発行によって、公的長期債務残高は、2000年度末で645兆円という巨額にのぼる見通しである。このまま従来型の経済政策を続けるならば、わが国の経済も財政も、早晩破綻してしまう恐れがある。そこで私達は2001年から2007年までの7年間を復興期間と定め、それを下記のように4年と3年の二つのステージに分け、それぞれのステージにおける重点政策を明確にした上で、日本復興への戦略的道筋を描いた。
第1ステージ:構造改革と経済の自立化(2001年~2004年)
第2ステージ:財政健全化へのスタート(2005年~2007年)

2.日本復興のための2段階戦略(二兎作戦)
第1ステージ:構造改革と経済の自立化……(2001年~2004年)
このステージの最重要課題は確固とした経済基盤の確立である。そこでこの4年間に限り、毎年30兆円、4年間で120兆円の公債を発行し、過去の清算を急ぐと共に、21世紀型経済・産業への構造改革を大胆に行う。具体的には、計量モデルの分析結果を基に公共投資を見直し、潜在成長力を高める分野に資金を傾斜配分する。併せて従来型の組織やシステムを見直し、不適当なものは整理をしつつ、21世紀にふさわしい社会システムの構築を目指すのである。
第2ステージ:財政健全化へのスタート……(2005年~2007年)
第1ステージで高めた経済の潜在成長力と組織見直しの成果を基に、ここではニュー・パブリック・マネジメントの確立を目標に財政の健全化への対策を提言する。例えば、国の債務の指標として「GDP×国民負担率(50%)×2」を目標に設定し、政府支出と歳入の面から財政の健全化を図る。具体的には行政改革を徹底し、PFIの大胆な導入や規制緩和を行って民営化を推進し行政コストを削減する。さらに歳入の面でも安定した財源を確保し財政構造の改善を図る。

3.政策提言
A.経済・産業の構造改革

  • 1)IT関係や情報関連分野への戦略的な傾斜投資を行う
  • 電気通信事業法、NTT法、放送関連法などを整理統合し規制緩和を徹底した上でIT分野への傾斜投資や光ファイバー計画の前倒しなどを推進する。
  • 2)インターネット時代に対応した大都市インフラの整備を促進する
  • 従来型の道路建設などの公共投資を見直し、都市の情報インフラの整備や都市内物流システムの構築、ITSの展開、ハブ空港などの整備をする。
  • 3)国立大学を民営化し、21世紀型の研究・技術開発システムを構築する
  • 「日本版NSF」の創設し、戦略的な研究開発分野に研究資金を供与する。産学協力によって21世紀型技術と目されるリニアモーターカーやバイオ、新エネルギー分野等でサン・セット方式の研究プロジェクトが推進できるようなシステムを構築する。
  • 4)高等専門教育機関を充実する
  • 法律・メデイカル・ビジネス・NPO・公共政策・先端技術・デザイン・外国語など高等専門教育機関を充実し、一定の資格を取った人はいつでもどの分野でも自由に選択して学べるように、政府ベースでバウチャーを発行して支援する。

B.ニュー・パブリック・マネージメントの確立

  • 5)財政状況の情報公開を徹底するため、新機関をつくるか、会計検査院の機能を強化する。
     さらに、新しい財政指標を定める。
  • 政府は財政状況を把握し国民にわかりやすく公開するために、新機関を創設するか、会計検査院の機能を強化する。そして、公的長期債務残高をどこまで認めるかという新しい財政指標[GDP×国民負担率(50%)×2]を設定する。
  • 6)2005年からの予算を白紙の状態から検討できるよう、財政支出に関する全ての法律を見直す
  • 第1ステージの4年間に財政支出に関する法律を全て見直し、時代に合わないものは廃止する。
  • 7)2001年を起点に本格的には、2005年より大胆な行政改革を断行し、8.5兆円の歳出削減をする
  • PFIの活用で3兆円、公務員の25%実質削減で2.5兆円、特殊法人の改革で2兆円、大学の民営化などで1兆円の歳出削減をする。
  • 8)消費税を5%引き上げ、2005年以降の財政基盤も確立する
  • 2005年~2007年の間に、1999年に実施された景気対策減税の清算と、並びに将来の高齢化に伴って必要になる財源として消費税を5%引き上げ、消費税を10%にする。
  • 9)財政バランスの回復を図る(2007年)
  • 2007年の財政改善額は、歳出削減分8.5兆円、消費税上げ分10兆円となる。

以上
文責/「日本復興計画」研究プロジェクト事務局

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