学校運営改善モデル | 【3】 チームで議論<第2回>
チームで議論<第2回>
1.事前説明及び前回の振り返り〔10分間〕
- <モデル内容>
今回の流れについて説明するとともに、前回の振り返りを行う。
- ①〔ポイント〕
アイディアや意見を出し合うときには、以下のルールを守るとともに、コーチングスキルを活用することを再確認する。
「1.質より量、2.批判しない、3.便乗する、4.あきらめない、5.楽しく議論」 - ② 今回の流れがわかる図を見やすい場所に貼っておくことも有効。
- ③ 各チームが前回作成した図(現状や方法設定)をそのチームの近くに貼っておく。
- ④ 前回決めた課題、目標及び方法について確認し、前回の内容について各人が感想を述べるとともに、前回欠席した者に対して内容を説明してチーム内で共通認識を図る。
2.実行状況をチェック〔40分間〕
- (1)<モデル内容>
- 「方法を実行できたこと」をチーム内で出し合う。
- 少しでも実行できたことを各人が付箋に書く。
- 付箋1枚につき文章は原則1つとし、1人が何枚書いてもよい。
- 1人1枚ずつ順番に付箋を出す。
- (2)実行状況について、チームで意見交換する。
- 実行した結果の反応や何があったから実行できたかについて話し合いながら、似たような内容の付箋をグループにまとめる。
- グループにまとめた付箋に共通する内容を考え、各グループに見出しをつける。
- ①〔ポイント〕
前回からあまり時間が経っていない場合、大きな変化が生じていないことは十分あり得る。これまでの進捗状況をチェックするという観点から議論する。 - ② 小さなことでもいいので、実行できたことがあればそれを出す。結果としてうまくいったこともうまくいかなかったことも両方出すことが重要である。
実行できたことを皆で承認する。 - ③ 実行した結果の反応を話し合う際、本人では気がつかないこともあるので、周りの人が質問をし、誰が何をしたかの詳細を引き出すよう努める。
- ④ 議論の際にはコーチングスキルを積極的に活用することを意識する。
Q1 実行の成果がまだ表れていないのですが、実行状況のチェックはどのように行えばよいでしょうか。
A1
実行期間が短い場合など、成果が十分には表れていない場合も多いと考えられます。
そこで、方法についてのチェックと目標についてのチェックに分けて考えます。
方法についてのチェックは、「少しでも方法を実行できたこと」を出し合います。実行結果がうまくいったかどうかは問いません。実行できたこと自体をチームのメンバーどうしで承認します。
【実践例】
実行する方法=「授業で予習の指示をするとき、『なにを』『どこまで』予習するかの指示を具体的に行う」
⇒ 実行できたこと
= 「次回の授業内容の予告とともに予習内容を指示した」 「予習プリントを生徒に配布した」 など
モデルでは方法についてのチェックを中心に示しています。
方法についてのチェックだけでもよいのですが、可能であれば目標についてのチェックも行います。目標についてのチェックは、方法の実行によってうまくいったことを出し合います。目標の達成に近づいたという成果を出し合うのが目標についてのチェックです。
Q2 実行結果を書いた付箋をグループ化する場合、どのような観点でグループに分ければよいでしょうか。
A2
方法の実行結果がチームで設定した課題にどうつながっているかを考えることで、グループ化が円滑に進みます。実行の目的はチームの課題を実現するためだということを再確認できるからです。
実行結果が課題にどうつながっているかというグループ化の観点を、そのままグループの見出しとすることができます。この見出しが、次の段階で方法を改善するアイディアを出す際のヒントになります。
【実践例】
実行結果の内容を見て、たとえば、「見本となるモデル像を生徒に示す」ことで課題の実現につながっているもの、「事前の準備をすることで実行しやすくなった」ことで課題の実現につながっているもの、などのグループに分けます。
この場合、「見本となるモデル像を生徒に示す」、「事前の準備をすることで実行しやすくなった」がグループの見出しになります。
3.方法を改善する〔20分間〕
- (1)<モデル内容>
- 実行状況のチェックでの議論を踏まえながら、これまでの方法に付け加えることがあるか、方法をより具体的にできるかを考える。
- これまでの方法を継続して実行するため、あるいはより効果的に実行するために、これまでの方法に付け加えることがあるか、より具体的にできるかを考える。
たとえば、実行する時間・場所を特定する、実行の準備段階に行うべきことを方法に加える、実行後のチェックをどうするかを方法に加える、など。 - 1人ずつ意見を付箋に書いて出し合う。
- これまでの方法を継続して実行するため、あるいはより効果的に実行するために、これまでの方法に付け加えることがあるか、より具体的にできるかを考える。
- (2)各人が出した意見をもとに、これまでの方法に何か付け加えるか、あるいはさらに具体化するかなど方法を改善するかどうかをまとめ、これから実行する方法を決める。
- (3)いつから実行するかを決める。
- ①〔ポイント〕
意見をまとめる段階で、いくつかの意見が出されて意見を絞りにくい場合には、まずチームとして優先順位をつけ、優先順位の高いものに絞り込む。 - ② 前回からあまり時間が経過していない場合、議論の結果として、これまでの方法を修正しない、もう少し様子を見るという結論もあり得る。
- ③ 実行状況をチェック・把握するためにはどういう調査や記録・データが必要かを考えることも重要である。たとえば、方法を実行できた回数を記録する、児童生徒に感想を聞く、児童生徒や保護者・地域に対するアンケートを実施する、など。
(「~のように思われる」という把握の仕方ではなく、データをとる、アンケートをとるなどによって、より明確に現状のチェックができる) - ④ 議論の際にはコーチングスキルを積極的に活用することを意識する。チームのリーダー(とりまとめ役)は、議論が具体的・建設的になるようできるだけ配慮する。
Q 方法を改善するアイディアがいくつも出されたのですが、これらのアイディアを絞るにはどうすればよいでしょうか。
A
アイディアを絞るためには、判断の基準が必要です。
第1回の議論で行ったように、基準を決めてそれにアイディアをあてはめて判断します。
第1回と同じ基準、もしくは新たな基準を設定し、その基準にあてはめて絞り込みます。なお、第1回のように2つの基準を設定するのではなく、1つの基準にあてはめて考えることで議論を効率的に進めることもできます。
4.目標の再確認・見直しを行う〔10分間〕
- <モデル内容>
前回設定した目標を再確認するとともに、必要に応じて目標を見直す。
- ①〔ポイント〕
前回設定した目標を再確認する。必要に応じ、目標をより具体化できるかなどの見直しを行う。 - ② 目標の再確認・見直しを行った結果、再度、方法を見直すこともあり得る。
- ③ 議論の際にはコーチングスキルを積極的に活用することを意識する。
5.発表〔10分間〕
- <モデル内容>
- (1)チームごとに
- ・これまでの方法をどう変えるか、なぜそう考えたか
・目標
を発表する。 - (2)全体について校長からコメントする。