思いをアクションにつなげられる世の中に

gooddo株式会社 代表取締役社長 下垣圭介 (聞き手:PHP総研 山田花菜)

_mg_5978

――「gooddo」で特にうまくいった取り組みには、どんなものがありますか?
 
下垣:動画を使ったNPOの活動PRですね。NPOをまだ知らない人に興味を持ってもらうために、動画をFacebookとかソーシャルメディア上で発信しました。動画がシェアされることで、そのNPOを全く知らなかった人の目に入るようになり、そこから興味を持ったり、gooddoのサイトにやって来たりする人の数はかなり伸ばすことができました。この取り組みを通じて、長い文章で説明してもなかなか読まれにくいですが、動画であれば「ちょっと見てみようかな」と思ってもらいやすいということと、多くの人が社会課題とかその解決法について興味がないのではなく、適切なタイミングと方法でしっかりとアプローチできれば、興味を持って参加してくれるということがわかりました。
 そういうポテンシャルはあるのに、これまでは何もできなかった人に情報を届け、行動させることができ、gooddoをやってよかったと思いましたし、もっともっと伸ばしていきたいと思いました。3年間やってきて、手応えはすごく感じています。
 
――東日本大震災は、日本人の寄付や社会貢献に対する意識や動向を大きく変えたと言われていますが、この数年間活動されてきて、変化を感じることはありますか?
 
下垣:たくさんあると思います。
 そのひとつとして、ここ数年でのソーシャルセクターの成長ということが言えると思います。組織的にも財務的にも、また、優秀な人材が入って来ているということからも、この5年間で非常に強くなっているなとすごく感じます。今後5年後、10年後にはもっとパワフルなセクターになっていると思うし、人気就職先ランキングにNPOが入ってくる日もそう遠くはないのではないかなと思っています。
また、世の中のマインドも、震災機に大きく変わったと思いますが、それもソーシャルメディアの存在が大きいと思います。
 ソーシャルメディアが普及したことで、それまではNPOや個人が被災地に行っても、現地の情報を自分たちのブログとかウェブサイトしかあげられず、そのページにたどり着ける人(=高い関心を持っている人)にしか情報を届けられませんでしたが、今は、現地の写真をFacebookやTwitterにあげることで、どんどんシェアされ、情報を拡散することができます。そして、普段は社会貢献にあまり興味はないけれど、震災の被害を見て自分も何かしたいという気持ちに駆られた人が、たまたま開いたFacebookで情報を見て「寄付したいな」という気持ちになり、応援のアクションを起こすことができます。
 結局、人の意識が変わっただけではなく、情報を伝えられる、また知ることができる環境がこの数年で整ってきたことが大きいと思います。また、スマートフォンの通信速度が劇的に改善されたことも背景にあります。発信する側も受け取る側も、ストレスなく情報をやり取りできるようになった。そうした環境の変化が、人々の意識や行動に与えている影響も大きいと思います。
 今年の4月に起きた熊本の震災のときは、gooddoのアクセスもとても多かったです。本当に大勢の方が関心を持っているのだということがよく分かりました。
 
――情報を受け取りやすくなったし、gooddoの取り組みで言えば、クリックひとつで支援金を送ることができるし、いまはクレジットカードでも寄付ができますよね。情報を受け取ってすぐ、応援したい気持ちが高まっているときに、ストレスやハードルなく応援のアクションがとれる。情報と人、情報とアクションをつなげられるようになったことは大きいですね。

関連記事