みんなで協力し合って課題を解決する社会へ

日本ファンドレイジング協会 代表理事 鵜尾雅隆

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――ファンドレックス立ち上げの前には、国際協力に携わっていた関係もあってJICAで働かれていたということでしたが、鵜尾さんはもともと社会貢献というかソーシャルな分野に関心があったのですか?
 
鵜尾:あったんでしょうね。大学4年生の頃は、海外で仕事をしたいと考えていたんですよ。商社マンになるか、青年海外協力隊みたいに現場に行くか、JICAのような国際協力のコーディネーターになるか、あるいは旅行作家になるか、という選択肢を考えていました。
 
――その頃から海外志向やJICAという選択肢があったのは、なぜでしょう?
 
鵜尾:高校2年生のときに、『人間の大地』という本を読んだんです。夏休みの課題で、一章読んで感想文を書くというものだったんですけど、めんどくさいなと思いながら読み始めたら止まらなくなって、一章どころか一冊ぜんぶ読んでしまいました。
 そこに書かれていたのは、ベトナムのボートピープルとか、インドの貧困とか、アフリカの内戦とか、世界各地でこんなひどい目にあっている人たちがいるという話と、彼らに対して日本がなにもできていないという話でした。衝撃でしたね。
 
 大学に入ってからもそれがずっと心に引っ掛かっていて、とりあえず途上国を自分の目で見に行こうと思って、大学1年生の夏休みに1か月間、バックパッカーで中国を旅しました。それから毎年長期休暇にはタイ、インド、アフリカと途上国を回って、何がどうなっているのか見て回りました。中でもインドは2か月半くらいいましたね。そうやっているうちに、海外と絡んだ仕事をすることが自分のライフワークだと考えるようになって、JICAの存在を知って、入ったという感じです。
 
 そしてタンザニアでの経験(※第一回)があって、実は国内も課題が山盛り状態だということに15年くらい前に気が付いて、ファンドレイジングについて考えるようになって、という流れでいままで来ました。
 最初からこんなことを想定したわけではないですし、自分がNPOを起業しているとか、ソーシャルビジネス専門のコンサルティング会社をつくっているなんて、20代の頃は夢にも思っていませんでした。だけどおもしろいですね、ソーシャルセクターは。

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