NPOの経営マネジメントのプロになりたい

NPOマネジメントラボ 代表 山元圭太

山元氏コンサル時代写真
コンサルタント時代の山元さん(写真提供:山元圭太氏)

体験に裏打ちされた戦略立案
 
 人事・採用に関するコンサルティングから入った山元さんだが、経営者と信頼関係ができてくると、「営業チームが思うように動いてくれない」「最近売上が落ちてきた」といった、人事とは直接関係のないテーマの相談も受けるようになった。
 
「こうしてみたらどうでしょう、とお手伝いしているうちに、いつの間にか営業戦略の立案に携わっていたり、住宅展示場でその会社の社員を名乗って家を売っていたりして(笑)。営業力を強化するのにも、まずは自分でやってみなければだめだと思ったので、売上を上げている人を観察して、成功要因を抽出して、それがほんとうに合っているかやってみて、合っていたらそれを標準化して、ほかの営業のメンバーに伝えていく、っていうことをやっていました」
 
 ほかにも「次世代経営陣プログラム」と題し、二代目経営者や未来の経営陣候補に経営に関する研修を行うなど、さまざまな面から「経営」「組織マネジメント」に携わり、5年目には自らチームを率いるように。
 
「入社式では3年で辞めるって宣言したんですが(笑)、よくある根拠のない3年神話みたいなもので、実際は3年経っても一人前とは言えないなと思ったので、結局5年いました。5年目には部下も持たせてもらって、チームで目標を達成する、成果を出すということができるようになりました。それで、そろそろいいかな、と考え始めました」
 
 「社会起業家」ということばが使われるようになり、山元さんの関心を惹いていたが、この頃はまだ、社会起業家として自ら起業するか、どこかに転職するのか、決めあぐねていた。そんな中で目にしたのが、国際NGO「かものはしプロジェクト」の求人情報。
 
「このときは正直、記念受験だったんです。受かるとはまさか思っていなくて。だけど、村田・本木・青木っていう、僕と同じ年の人間が、当時すでに社会起業家の代表格として有名だったことに衝撃を受けていて、選考がうまく進めば、もしかすると彼らと直接話せるかもしれない。話せたら、いまの自分になにが足りないかわかるかもしれないと思って、かものはしプロジェクトの求人に応募したんです」
 
 結果、内定。予想外の結果にかなり悩んだというが、山元さんがコンサルティング会社を辞め、NPOの世界へ飛び込んだのは、自身の結婚式から2か月後のことだった。
(第二回「集めたいのは『お金』じゃなくて仲間」へ続く)
 
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山元 圭太(やまもと けいた)*NPOマネジメントラボ代表。日本ファンドレイジング協会認定ファンドレイザー。元NPO法人かものはしプロジェクト日本事業統括ディレクター。 1982年滋賀県生まれ 同志社大学商学部卒。卒業後、経営コンサルティングファームで経営コンサルタントとして、5年間勤務の後、2009年4月にかものはしプロジェクトに入職。日本部門の事業全般(ファンドレイジング・広報・経営管理)の統括を担当。「社会起業塾イニシアティブ(NEC社会起業塾) コーディネーター(2011?2013年)」「内閣府復興支援型地域社会雇用創造事業 みちのく起業 コーディネーター(2012年)」として、日本各地のソーシャルベンチャーやNPOの支援も行なう。
 現在は、NPOマネジメントラボ代表として、「本当に社会を変えようとするチェンジメーカーの『想い』を『カタチ』にするお手伝い」をするために、キャパシティ・ビルディング支援や講演/セミナー、コーディネートを行っている。専門分野は、ファンドレイジング、ボランティアマネジメント、組織基盤強化、NPO経営戦略立案など。
 
【写真:永井浩】

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