NPOの経営マネジメントのプロになりたい

NPOマネジメントラボ 代表 山元圭太

山元氏フィリピン写真
学生時代の山元さん(写真提供:山元圭太氏)

将来の夢なんて、描けないし描きたくない
 
 ボランティア団体での活動は、フィリピン、スリランカ、バングラデシュといった途上国で、住居建築のワークキャンプをするというもの。
 
「適切な住居環境を持っていない方々に対し、家を一緒につくって提供するというプログラムでした。4年間の間に数回現地に行って活動しましたが、フィリピンのごみ山での出来事が、僕にとってのターニング・ポイントになりました」
 
 スモーキー・マウンテンと呼ばれるごみ山で、山元さんは、7歳の男の子に出会った。仲良くなって半日ほど遊び、最後に将来の夢を尋ねると、返ってきた答えはショッキングなものだった。
 
「『将来の夢なんてない。描けないし、描きたくない』って言われたんです。すごくショックでした。自分たちは、貧困問題を解決するとか、南北問題を解消したいと言って活動しているのに、ある意味その象徴であるような男の子、ごみ山で暮らしていて、学校にも行けず、将来の夢を描くこともできないという男の子が目の前にいるのに、その子になにもしてあげることができなかったんです。自分の掲げていた志が、大きいけれど薄っぺらいものに感じられました」
 
 山元さんが所属していた団体で用意していたプログラムは、その男の子のような最貧困層の家庭にはリーチできないものだった。そもそも、そうした状況の子どもにとって、最初に必要なのは家なのかという疑問も湧いてきた。
 
「そうやっていろいろ考え出すと、貧困問題を解決したいなんてたいそうな志を掲げて行ったけど、知識も技術も権力も財力もなにもない一大学生である自分には、結局なにもできない。目の前にいる、仲良くなった男の子ひとり救えないっていうことに気づいて、無力感に打ちのめされました」
 
 ふと足元を見ると、日本語の書かれたごみが大量にあることに気がついた。よくよく聞いてみれば、スモーキー・マウンテンには、日本からもごみが捨てられるのだという。
 
「とくに産業廃棄物や医療廃棄物が多いと言われて。医療廃棄物っていうのは、たとえば使用済みの注射器。注射器を捨てたら、割れますよね。裸足で歩きまわっていることが多い貧しい子どもたちがそれを踏んでしまい、その傷がもとで破傷風になって亡くなってしまう子というのが、実はたくさんいるということも、そのとき初めて知りました」
 
 ほかにも、切断された人間の手足や臓器といったものがスモーキー・マウンテンに捨てられていることもあるという。正規のルートで処分するとコストがかかるため、フィリピンまで船で運んで来て捨てるのだ。そうした医療廃棄物は、疫病の温床となる。
 
「さらに、自分たちが朝ホテルで飲んだジュースと同じパッケージのものが捨ててあったりとか。そうした現実を見たとき、自分は助ける側の人間のつもりでここに来たけれど、実は加害者側の人間だということに気がつきました。なにもできないどころか、加害者だったんです。これまでの活動は、自己満足でしかなかったんだと思いました」
 
 無力感に打ちひしがれて帰国した山元さんは、活動からしばらく離れ、授業に出たり、友達と遊んだりといった、ふつうの学生生活を送った。
 
「そんな生活もまあ楽しいんですけど、どこかになにか、もやっとしたものが残っているわけです。なんなんだろうなって考えたんですけど、結局、やっぱりやりたいんだなって。ああいう状況に対して、少しでもなにかできることがあるなら、やっぱりやりたい。だけど、どうせやるなら、ほんとうにあの子が救える、ああいう子がもう出てこないような社会にするために意味のあることがしたいと思いました」
 
 学生ボランティアではなく、プロが活動している団体のインターンとして、山元さんはボランティア活動への参加を再開した。

関連記事