住民の、住民による、住民のためのまちづくりをめざして

NPO桜ライン311 岡本翔馬

DSCN4110
写真提供:桜ライン311

Uターン、Iターンに続く地元の若者
 
 いま、桜ラインの事務局にいるスタッフは、Uターン組が3人。Iターン組が3人。2月まで在籍していたスタッフは、地元を離れたことがなかった。やってくる若者たちのバックグラウンドは、みなばらばらだ。
 
「入ってきたのはUターンの子が最初。それからIターン。Iターンの彼は、自分自身の目標があるので、期限付きで来てくれているんです」
 
 そして彼らは陸前高田には少ない若い世代だ。岡本さんも31歳になったばかり。2月まで勤めていた「地元組」のスタッフがいちばん若く、平成元年生まれの25歳だった。
 
「彼女は、震災の時には一本松のそばで働いていたんです。ほかにやりたいことがあっていまは桜ラインを離れましたが、彼女のような若い、そして地元で育って地元で働いていた人が、僕たちのような団体に目を向けて一緒にやりたいと思ってくれるようになったこと自体が、ひとつの成果だと思っています。もともと陸前高田にはNPOはなかったので、NPOが陸前高田に根付くためにもっと多くの地元の若者にも関わって欲しいですね。」
 
 いままで外の人間しかいなかった場所に、純粋に地元でやってきた人が入ってきてくれたということに、岡本さんはうれしさと力強さを感じている。
 
「正直なところ、どんどん責任が重くなってきて、いつまで立っていられるか不安でしょうがない部分はあります。最初は僕ひとりが食っていければと思ってたけど、いろんな人と一緒にやってきて、事業も大きくなってきました。それに応え続けなきゃいけないっていうことは、もちろんプレッシャーもすごくあるんですけど、ほんとうに幸せなことだと思っています」
 
 そう話す岡本さんの顔は明るい。春の訪れとともに伸びていく桜色のライン。1万7,000本の桜並木がつながるころ、陸前高田はきっと力強くたくましいまちに生まれ変わっているに違いない。
 
DSCN4117
 
岡本翔馬(おかもと しょうま)*1983年、岩手県陸前高田市高田町生まれ。仙台の大学を卒業後、東京で就職。震災を機に陸前高田へUターンすると同時に一般社団法人SAVE TAKATAを立ち上げる。その後NPO法人桜ライン311を立ち上げ、現在は代表を務める。
 
【取材・構成:熊谷哲(PHP総研)】
【写真:shu tokonami】

関連記事