ソーシャルな志を、ビジネスのしくみとして成り立たせる

福島復興ソーラー・アグリ体験交流の会 半谷栄寿

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発表の場が思考力と実行力を育む

週末スクールを人材育成の新たなプロセスに
 
「ふたつめの課題は、平日の学校単位の体験学習やサマースクール・ウィンタースクールに加えて、2014年5月から週末のスクールを立ち上げ、軌道に乗せることです」
 
 この週末スクールは、2か月間に4回開催し、最終回では発表の場を設ける。東北大学大学院、いわき明星大学、環境ジャーナリストの枝廣淳子さんらとカリキュラムを練っているところだ。
 
「『発表する力』つまり自分の考えや思いを伝える力というのは、『考えて行動する力』を身につけていく上でとても大切だと、体験学習の現場で強く感じているんです」
 
 人前に立ち、自らの取り組みの結果を発表することに二の足を踏む人は少なくない。そのような場面で前向きに取り組めるかどうか。考える力や行動する力を育む上で、そこが大きな分かれ道になると半谷さんは言う。
 
「なにを発表するか、どう伝えるか、場がセットされたら前向きに考えるようになる。有言実行という言葉がありますが、一度みんなの前で発表すると、行動するようになりますよね。発表の場数を踏むことは、発表する力と同時に思考力や実行力を育てることにつながると思っているんです」
 
 人材育成の教育効果を可視化することも、週末スクールの目的のひとつ。グリーン・アカデミーの人材育成の成果は、つまるところ地元の復興に意欲的に取り組む人材を生み出せるかどうかに表れる。
 
「数年が経つと、いまの小中学生も高校生や大学生になります。そのときには、週末スクールの卒業生に、高校生や大学生として週末スクールそのものの運営に積極的に関与してもらいたい。体験から一歩進んで、今度はいわば経営経験を積んでもらう。その中から、地域の課題にもっと積極的に関与しようっていう人材が必ず生まれてくると思うんです」
 
 成長に応じて新たな場と機会をつくり出し、次の成長を促す。その積み重ねによって、地元復興を担う人材を必ず育てることができると、半谷さんは確信している。

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