自然エネルギーを復興の原動力に

福島復興ソーラー・アグリ体験交流の会 半谷栄寿

110327 南相馬市救援活動 034
南相馬市への支援の様子【写真提供:福島復興ソーラー・アグリ体験交流の会】

「もの」の支援から「しくみ」の支援へ
 
 この事業モデルの原点は、半谷さんが被災した故郷への支援活動を行っていたときにさかのぼる。
 
「大震災が起きたとき、私は東京にいましたが、自分にできることはなにか考えました。あの当時は物流が滞っていましたから、まずは“もの”の支援が大切だと考えて、南相馬市にトラックで物資を運びました」
 
 南相馬市の出身の半谷さん。最初に支援物資を持って行ったときには、変わり果てた故郷の光景に目を疑ったという。
 
「国道をトラックで走っていたら、そこから水平線が見えたんです。そんなことは、本当はあり得ない。海沿いには松林があり、道路沿いには建物もあるはずなのに。私には、目の前の光景がまったく信じられませんでした」
 
 運んでいった支援物資は、休まず営業していた地元の和菓子屋の店先に置かせてもらい、支援が必要な人に渡してもらうようにした。公平性より迅速性を優先しての支援。これを可能にしたのは、それまで培ってきた経験と信頼だ。
 
「オフィス町内会という環境NPOで古紙の共同回収をやってきた関係で、たくさんの古紙回収会社とパートナーシップを組んでいます。そうした回収会社が古紙回収用のトラックを快く貸してくださって、活動に参加している企業から支援物資もいただいて。おかげで、3月19日から5月14日までに計6回、物資を運ぶことができました」
 
 そんな中、和菓子屋のおかみさんから、「子どもたちのためになにかできないか」という思いを託される。ちょうどその頃、自身も支援のあり方を切り替えようと考えていた。
 
「5月に入るとスーパーも営業を再開し始めたので、“もの”の支援は終わろうとしていました。次は“しくみ”の支援が大切だ、と。では、どんなしくみがいいだろうと考えていたところにおかみさんのひと言があって、はたと気づかされました」
 
 半谷さんの脳裏に、これまでの人生が走馬燈のように駆け巡った。
 
「誰しも、子どものとき恩師に影響を受けたことが、人生に大きなものをもたらしていますよね。自分のビジネスマンとしての人生を振り返っても、体験が人を育てると本当に思うんです。体験こそ、人を成長させる。だから、子どもたちの成長のために、なんらかの体験ができる場としくみをつくって運営しようと決めました」
 
 お世話になったおかみさんのひと言からの着想。それは、それまで半谷さんが長年積み重ねてきた活動や思いが、故郷の復興と重なった瞬間だった。

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