成長戦略の本格化と発信力のアップを期待する

グレン・S・フクシマ(米国先端政策研究所上級研究員)×永久寿夫(政策シンクタンクPHP総研代表)

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6.日本は世界第3位の経済大国としてのコミットメントを求められる
 
永久 先ほどのお話と合わせると、多様性を包含するのが民主党であって、その中でいささか体制的というか保守的な部分もあるヒラリーが今のアメリカの民意の大きな部分を吸収する力があるということですね。
 
フクシマ そうですね。さらに、ヒラリーの場合は、もともと有能な弁護士であるうえに、8年間のホワイトハウスの経験で、夫の失敗もたくさん見ている。上院議員の経験もあれば、国務長官も務めている。ホワイトハウス、議会、外交、全部の分野に経験を持っているわけです。オバマに対する一つの批判は、あまりにも未経験だったこと。今回はもっと経験がある人が必要だという反動があります。もっとも、アメリカにおいては、大統領選挙では、極端に「新顔」に期待し、経験を軽視する傾向がありますが……。
 
永久 ヒラリーには安定性を求めたいということですかね。もし彼女が大統領になると、日米関係を含めて、アメリカの外交・安保政策、経済政策は、今の状態を継続していくと見ていたほうがいいということですか。
 
フクシマ ヒラリーは、外交に関しては積極的・能動的な政策を進めると思います。オバマは、どちらかというと、事件があってから対応するという、場当たり主義というと強すぎますが、何かビジョンのもとに戦略を立て、それで外交を遂行するというタイプではないですね。その理由の一つには、外交では、彼にとって最大の任務はアフガンとイラクから撤退すること、という認識があったのかもしれません。逆にヒラリーには、アメリカが外国に関与しなければ世界がおかしくなってしまうという感覚があるように思われます。
 
永久 ヒラリーが大統領になると、国際政治における日本のコミットメントを一層求めてくる可能性があるということですね。
 
フクシマ 最終的に誰が大統領になるかによって程度は異なるかもしれませんが、誰がなったとしても、アメリカは日本に世界第3位の経済大国としての役割を果たすことを期待するでしょう。
 

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