「グローバル」ではなく「惑星的(プラネタリー)」に地球の課題を考える

竹村真一(京都造形芸術大学教授)×永久寿夫(PHP総研研究主幹)

6.変革は「周辺」から始まる
 
永久 それにはやはり時間がかかりそうですね。「触れる地球」を学校から普及させていって、子どもの時からそうした価値を身に付けさせていくことが必要ですよね。日本だけじゃなくて、世界中に、考え方もいっしょに輸出して啓発していく。そうしたことをやっていきたいですよね。
 
竹村 日本政府が日本中の小学校とか、世界中に配ってもよさそうなものだけど、残念ながら国連あたりが世界100カ国に1台ぐらいずつ配っていこうかとか、動きはあるんですけども、なかなか思うようには進みませんね。
 
永久 文科省でも学校にタブレットを普及させる取り組みがなされていますが、機材をどう普及させるかになってしまって、どう使うかの明確なコンセプトがあるようには思えないんです。「触れる地球」は、地球価値創造というコンセプトがあって、そのためにどう使うかというツールとしてあるわけですよね。タブレットだけを普及させてもあまり意味がない。
 
竹村 Howじゃなくて、どんな社会をつくるのかという、Whatのレベルで問うことを戦後の日本はみずからやってこなかった影響もあるんでしょうね。でも、日本の歴史を振り返ると150年に1回くらい起きているドラスチックな転換はペリフェリー(周辺)から起こっていますよね。家康は江戸という当時としては辺鄙な場所に幕府を開いたし、明治維新も薩長土肥から始まりました。ペリフェリーであってもビジョンがあった。それが変革をもたらした。おもしろいのは、丸の内のど真ん中、つまりメインストリームでも、こういう変わった考え方を理解してもらって、三菱地所さんをはじめ多くの方々からサポートをいただいています。
 
永久 伸び代があるペリフェリーだからこそ変革が起こせるんです。竹村さんの活動には伸び代もビジョンもある。それに、メインストリームには勝海舟がいるわけですよ。そういう人たちと力を合わせて、どんどん進めていただきたいと思います。

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